北海道&東日本パスで稚内を目指す旅(その2)

 今回はJR北海道・東日本全線の普通列車が乗り放題の期間限定きっぷ「北海道&東日本パス」を使った旅。目指すはずばり、北海道稚内にある日本最北端の地、宗谷岬。7日間10,850円(1日あたり1,550円)の格安きっぷで、途中下車も楽しみながら普通列車を乗り継いで宗谷岬を目指すことをこの旅の目的とした。夜行フェリー、廃線が近いローカル線への乗車、隣の駅まで1時間かかる普通列車……。初めての体験も盛りだくさん。
 自身のこれまでの旅行の中で一番長い日程となった、6泊7日で行く「北海道&東日本パスで稚内を目指す旅」を紹介。

 2日目は東北本線を外れ、秋田経由で青森へ。

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【2日目】
白石 5:45発
↓東北本線423M普通
小牛田 7:29着
2日目は早起きして白石発2番手となる5:45発の列車に乗車。日曜の早朝なので乗車は10人程度。しかし大河原、船岡辺りから次第に人が多くなってきた。
6:32、仙台。東北最大の都市であるからこの時間でも人が多い。
東北本線の列車はほとんどが仙台始終着だが、この列車は小牛田まで直通する。ここでは12分停車し、その間に始発の利府行きが先行。
日本三景の一つ、松島をわずかに望みながら東北本線を更に北上。仙台を中心とする都市圏を抜け、松島を過ぎるとほとんど乗客はいなくなってしまった。
小牛田 7:40発
↓東北本線523M普通
一ノ関 8:30着
小牛田からの列車は2両編成のワンマン運転。乗り換え客はあまりおらず20人程度を乗せて発車。この列車で岩手県に入る。
一ノ関 8:58発
↓東北本線1531M普通
北上 9:38着
小牛田から50分、県境を越えた終点の一ノ関は岩手県最南部に位置する県第二の都市だ。この先は盛岡地区の車両に変わる。
次の列車は盛岡行きの2両編成で、新幹線からの乗り換えもあり立ち客が多い。
新幹線から乗り換えてきた客の多くは世界遺産・平泉への観光客のよう。案の定、平泉で半分程度が下車した。
しかし、その先の水沢から再び混雑してきた。若い子が多く皆、盛岡まで出掛けるようだ。しかし、盛岡まではあと1時間もかかる。この距離を座って行けないのは辛かろう。
北上 10:11発
↓北上線3731D快速
横手 11:23着
青森へはこのまま北に進むのが最短だが、この前日に大曲駅の発車メロディーが変更されたことから、急きょ予定を変えて北上から北上線を通り、秋田を経由することにした。北上線は初乗車。東北・奥羽両線を結ぶ路線の中では最も距離が短く、秋田への最短ルートとなる。

北上では隅っこの0番線に1両の快速列車が停まっていた。同線の快速はこの年から走り始めたばかりであるが、通過するのは利用が極端に少ないという3つの小駅。速達化というよりもムダな停車をなくした効率化と言ったほうがよい。

線路は奥羽山脈を越えて秋田県へ。山中には「和賀仙人」なる駅があった。仙人出てきそう。
横手 11:47発
↓奥羽本線2439M普通
大曲 12:05着
終点の横手まで乗車は終始20人程度。横手からは奥羽本線秋田行きに乗り換え。昨日から断続的に乗っている701系も、今度は秋田地区の赤紫色に。
約20分で大曲に着き、途中下車。予想以上に暑い。東北に来たから涼しくなると思っていたのに。
大曲といえば全国花火競技大会が開かれる花火の街。駅前には巨大玉が鎮座していた。
  駅構内の観光案内所にあったチラシに気を引かれ、昼食をとったのは「あり坂」というラーメン店。「リピーターNo.1」だという打ち上げラーメン(850円)は、タバスコ入りトマトスープの変わり種だった。注文時「辛いですよ?」と忠告されたが、坦々麺とは違うイタリアンな辛さがクセになりそう。餃子はこの日、半額サービスで160円。汗もかいて満腹。
大曲 14:42発
↓奥羽本線2443M普通
秋田 15:32着
大曲からは再び秋田行きに乗車。周りからは秋田弁の会話が聞こえてくる。
だんだん外は曇り空に。秋田に着くと、大曲とはうって変わって涼しくなり霧雨が降っていた。
秋田 17:30発
↓奥羽本線3625M快速
弘前 19:40着
続いて、秋田17:30発の快速弘前行きに乗車。本数が削減された特急の代わりに運行されているもので、所要時間は弘前まで2時間10分と他の特急とは大差なく、このような乗り継ぎの旅でうまく使いたくなる列車だ。
しかし誤算だったのが2両編成だという点で、クロスシートも全体の1/4しかない。大荷物を抱え新幹線から乗り換えてきた客も多い。ざっと見て200人程度の客を乗せ秋田を発車。日曜日にもかかわらず通勤列車のように混雑している。

隣の土崎でも乗車があったが、以降は下車していく一方で、八郎潟、森岳では特に多かった。
18:25、五能線の乗換駅である東能代に到着。この時点で空席も増え、立ち客はほとんどいなくなった。
19:04、大館。かなり下車したが、秋田から乗車している客もまだ多く残っている。ここが秋田県で最後の街となる。
陽も暮れ、降車客の後ろ姿が「きりたんぽ物語」の発車メロディーでより物悲しく感じた。
弘前 19:45発
↓奥羽本線681M普通
新青森 20:20(20:23)着
青森県へ入り終点の弘前に到着。5分接続で青森行きに乗り換える。こちらは3両編成。

降りたのは終点、青森の一つ手前の新青森。新幹線の乗換駅。新幹線の開通から6年が経ったが、駅の周りに目立った店は無い。構内の飲食店は既にオーダーストップとなっていたため、歩いてバイパス沿いの吉野家へ。

その後、すぐ近くにある「あおもり健康ランド」(3時間大人420円)で一風呂浴びた。駅からも徒歩10分程度なので行きやすい。
しかし周りの人がみな津軽弁で、何を言っているのか全く分からなかった。
 
  さて、ここから函館へは新幹線を使えば1時間強。普通列車限定の「北海道&東日本パス」でも特定特急券(3,930円)を別に買えば乗車できるのだが、今回は「できるだけ安く」という観点から、夜行フェリーを使って海を渡ることを選択した。
フェリーが出る青森港は青森・新青森両駅から共に約3km。この時間なのでバスも走っておらず、30分ほど夜道を歩く。だが交通量は多く光りもあるので心配はない。
青森港 23:30発
↓青函フェリー15便
函館港 (翌)3:20着
22:35、青森港フェリーターミナルに到着。

青函間のフェリーは、津軽海峡フェリーと青函フェリーの2つがある。前者は充実した設備を持ち旅客輸送に力を入れているのに対し、後者は創業以来の貨物(トラック)輸送をメインにしており旅客輸送は「ついで」で、設備は簡素だが運賃は安い。一般に旅行客には前者が利用されているが、ここでは迷わず後者を選んだ。青函フェリーなら片道大人2,000円、事前に予約し公式サイトのクーポンを窓口に提示すれば1,800円で乗船できる(10〜5月はさらに2割引)。この値段で函館まで行けてしかも寝られると思えば安いものだ。

既に港には函館行きの船が停泊中。乗船するのは2014年にデビューした「はやぶさ」で、青函フェリーでは最も新しい。新幹線を意識せざるを得ないネーミングだが、実は「はやぶさ」の名は1970年には既にフェリーが使っていたという。

駐車場には乗船待ちのトラックが多く停まっているが、ターミナルビル内に客の姿は無く静か。作業員が切符を切り、車と一緒に甲板から乗船。以前、同じ青函フェリーの「あさかぜ」に乗船した際には本当に客室と自販機ぐらいしかなかったが、この「はやぶさ」は従来の船とは異なり旅客サービスにも注力、吹き抜けのエントランスに女性専用ルームなど洒落た内装になっている。

徒歩客は7人。車航送とあわせて一般客は30人程度。トラック運転手は自車内に留まっているらしい。今宵の寝床はフェリーの王道、カーペット敷きの2等客室。函館までは3時間50分であるから、そんなにゆっくりはしていられない。ささっと支度をして仮眠をとった。