北海道&東日本パスで稚内を目指す旅(その3)

 今回はJR北海道・東日本全線の普通列車が乗り放題の期間限定きっぷ「北海道&東日本パス」を使った旅。目指すはずばり、北海道稚内にある日本最北端の地、宗谷岬。7日間10,850円(1日あたり1,550円)の格安きっぷで、途中下車も楽しみながら普通列車を乗り継いで宗谷岬を目指すことをこの旅の目的とした。夜行フェリー、廃線が近いローカル線への乗車、隣の駅まで1時間かかる普通列車……。初めての体験も盛りだくさん。
 自身のこれまでの旅行の中で一番長い日程となった、6泊7日で行く「北海道&東日本パスで稚内を目指す旅」を紹介。

 3日目でやっと北海道へ上陸。乗り継ぎが悪くなるが、待ち時間には温泉や食事でリフレッシュ。

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【3日目】
青森港 (前日)23:30発
↓青函フェリー15便
函館港 3:20着
大音量の船内BGMで目覚めると、既に外には函館の街の明かりが見えていた。下船は車とトラックが優先で徒歩客は最後。以前乗った際は車より先に出してくれたのだが。徒歩客一行は客室まで迎えに来た作業員に連れられて外へ出た。
時刻はまだ3時半。いくら夏とはいえまだ暗いので、明るくなるまでターミナルの待合室で休んだ。
  4時を回ると外が明るくなりはじめた。折り返し4:30発青森行きの便の出航を見届けて函館港を後にした。

函館港から近くのバス停まで徒歩10分、五稜郭駅までは30分程度なのだが、今から行ったとしてもバスも電車もまだ走っていない。ということでこれまた函館駅まで3km程歩くことに。港の周りは工場街。こんな朝早くからひとりで歩いていると変に見られそうだが仕方がない。

函館山の見える方へ進むこと20分、港を縦断する「ともえ大橋」へ。海側に歩道がついていて眺めが良い。初めは道順がわかりやすい国道を歩くつもりでいたが、こちらを選んで正解だった。
 
      
 5:25、函館駅前に到着。ちょうど駅前の朝市が立つ時間で、既に観光客の姿も見られる。昨日も今日も駅から港までいい運動をしてしまったので、食堂に入って海鮮丼をほおばった。
 朝食後は、谷地頭温泉で朝風呂(420円)に入っていくことに。駅前から6:36発、市電の一番電車に乗車し終点の谷地頭までは12分。谷地頭温泉は5年前の北斗星に乗車した時にも訪れているが、当時市営だったのが民間運営に変わっていた。湯温は43℃、湯上りのコーヒー牛乳のおいしさが増す。
函館 8:18発
↓函館本線821D普通
長万部 11:19着
函館駅に戻り、8:18発の長万部行きに乗車。いよいよJR北海道区間。早速同社の顔?を維持し続けるキハ40系1両に揺られることとなる。

約30人を乗せて函館を発車。五稜郭、桔梗、大中山と各駅で乗降がある。
8:43、新函館北斗。新幹線乗換駅だが、接続が無いためあまり乗降は無い。駅前にも何もなく寂しい。ここを過ぎると車窓は一気に大自然に変わった。
9:08、大沼公園。観光客が多く下車し、この時点で乗客は7名となった。列車は大沼と小沼に挟まれた線路を進む。
9:34、森。約30分停車し特急に抜かされる。海がすぐそばまで迫りシチュエーションは良いのだが、雨が降ってきて外に出るのはやめた。とりあえず売店で名物の「いかめし」を購入。あとで小腹がすいたら食べよう。
森発車時点で乗客は12人。この先は内浦湾に沿って走る。ほとんどが複線のため、交換待ちもなく走りはスムーズ。
函館から約3時間。終点の長万部(おしゃまんべ)に到着。いずれはここに新幹線が停まる予定だが、まだその気配は見られない。
ここで室蘭本線に乗り換え今日の泊地、苫小牧を目指すのだが、次の列車まで約4時間もある。長万部から豊浦の間の本数が特に少なく、当日中に乗り継げるのは2本しかない。
  良くも悪くもゆっくりする時間ができたので、ひとまず昼食とする。駅前の食事処「かなや食堂」は、長万部駅の名物駅弁「かにめし」を製造する会社が経営しており、駅弁と同じかにめしの定食(1,520円)が食べられる。カニサラダや茶わん蒸しもついてボリューミーだ。
  昼食後、海岸の方へ歩いて行ったものの特にめぼしいものが無かったのですぐ退散。駅近くの長万部温泉街に向かう。
温泉街へは駅から徒歩10分。駅から札幌方面に向かって進むと「温泉近道」と書かれた看板があり、左側に線路を渡る歩道橋が見える。道路は駅から離れた陸橋しかないのでたしかに近道なのだが、自分で「近道」と名乗る近道もそうあるものではないのでちょっと面白い。

人気のない静かな温泉街に着き、「丸金旅館」で日帰り入浴(大人500円)。先客はいない。湯温は今朝の函館を超える44℃。長く入っているとのぼせてしまいそう。塩分が強いのか味はしょっぱく、しっとりと肌になじむ感じがする。
風呂はもちろんよかったが、休憩室にあったマッサージ機が気持ち良すぎて長居してしまった。
 
長万部 15:26発
↓室蘭本線481D普通
東室蘭 16:55着
やっと時間になり、次の東室蘭行きに乗車。乗客は7人。

15:44、小幌。山と海に挟まれ、駅に通じる道もない日本一の秘境駅として有名だ。ここで何と4人も乗ってきたのだが、首から名札をぶら下げており自治体か何かの職員のようだ。JRは利用者皆無のこの駅を廃止する予定でいたが、駅のある豊浦町が観光資源として活用するため維持費と管理業務を負ってまで存続させている。他に目立った観光地が無い町としては唯一、胸を張って全国にアピールできる「日本一」なのだ。

16:03、豊浦。小学生約10人が乗車。洞爺、伊達紋別などでも乗降があった。
東室蘭 16:58発
↓室蘭本線441D普通
苫小牧 18:09着
海側に工場群が見えてくると終点の東室蘭。向かい側には苫小牧行きが停まっていた。学生が多く2両編成だ。先ほどのキハ40系と比べれば新しそうに見える車両だが、客車改造モノらしい。
学生の帰宅時間帯で車内はやや混み合っている。鷲別、白老、錦岡では学生が多く乗車してきた。
17:17、登別。普通列車なので観光客の姿は無い。
17:45、白老。特急の待避。
今日の宿泊地である苫小牧に到着した。この日は乗り継ぎが悪く、実際の乗車時間は約6時間に留まった。

苫小牧は札幌から鉄道で1時間前後、長距離フェリーも発着する港湾都市で、駅周辺には背の高い建物が多い。しかし駅ビルや駅前のショッピングセンターは潰れてしまったようで、この時間で既に閉まっている店も多く寂れた感は否めない。駅裏のメガドンキが唯一開いていた。

小腹がすいたら食べようと思って朝に森で買った「いかめし」だが、昼のかにめしが思いのほか量が多かったので結局ここまで持ってきてしまった。酒の肴にして食した。