北海道フリーパスで北海道へ行ってくる旅(その3)

 北海道には以前も行ったことはあったが、広い北海道、まだまだ知らないところがたくさんある。8時間走る普通列車など乗ってみたい列車もあり、また2010年に相次いで登場したご当地駅メロディーの駅を巡ることを主な目的とし、きっぷは道内のJR全線・特急の自由席に乗れて指定席も6回使える「北海道フリーパス」(25,500円)を使用。4泊6日(1日車中泊)の北海道の旅を紹介。
 4日目は日本最長の普通列車「2429D」に乗って釧路へ。

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【4日目】
滝川 9:37発
↓根室本線2429D普通
釧路 17:39着
4日目は滝川から、日本一長い時間走る普通列車、2429D・滝川発釧路行きに乗る。釧路までの308.4km(営業キロ)を8時間2分かけて走る。最近はJRも宣伝に乗り出し、滝川駅にはPR看板も。「運行時間が」と限定しているのは、私もこの昨年乗った岡山発下関行き(384.7km)が距離では上を行っていたためだが、この年の3月に無くなってしまった。だが同じダイヤ改正で岡山発新山口行き(315.8km)ができたため、変わらず距離は2番目である。

列車は9:25ごろに車庫から、キハ40形1両編成が入線する。
車両横の行先表示板はこの列車専用のものが用意されている。「日本一長い距離」とあるが、実際は上記のとおり。だが、上記2本とも途中で列車番号が変わることから、列車番号が変わらない本当の「最長距離」はこの列車だという主張も。
9:37滝川を出発。観光客も多く20名ほどの乗車だが、7月の夏休み前、しかも平日でそんなにガヤガヤしていない。乗り鉄ばっかなのを避けたいというのもあったのでこの日を選んだわけだが。
一つ目の東滝川では早速約5分停車、対向の快速と交換。
芦別では数人が下りる。
列車はだんだん山の中へ、秘境ムードが漂ってきた。
野花南(のかなん)を過ぎると長いトンネル。10分ぐらい走ってたのでは?ダム建設で付け替えられた線路らしい。野花南から16分で次の島ノ下。こんなところでも1人乗ってきた。
滝川から1時間を過ぎ、10:48に富良野。滝川からの観光客の多くは降りて行った。ここで20分停車し後ろに1両連結する。
停車の間に旭川からの富良野線と札幌からの特急フラノラベンダーエクスプレスも到着。駅は賑やかになった。11:08に発車。
北海道の典型的風景が続く。朝から曇り空だったが時折青空も見えるように。
富良野から2つ目の山部では快速狩勝と交換。この列車も、今乗っている列車と同じ滝川〜釧路間を距離を逆方向に走る。だが向こうは帯広から快速で、所要時間も6時間50分と1時間以上違う。
幾寅駅。1999年の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケに使われた駅で、観光客の姿も見えた。
12時を回り落合。約10分の停車。狩勝峠に入る手前の駅で、相変わらず乗降客は無し。
ホームの跨線橋を上ると中は虫が飛び回りクモの巣が張り付き、下にはフンやら死骸やらがあって不気味すぎる。
落合を発車すると程なく峠のトンネルに入る。トンネルの中の上落合信号場で石勝線と合流すると一気にスピードを上げ、ディーゼルの轟音が響く。数分でトンネルを抜けると今度はヘビのように山を下っていく。右へカーブすると進行左側がひらける。左下には新得の町が見える。
その後今度は180度左へカーブ。新得の町は進行右側に変わる。
そして右にまたカーブすると下まで降りてくる。落合から25分かかって新得に到着。北海道は平気で隣の駅まで10分20分かかるが、この25分は飽きなかった。ここでは5分停車。運転士も交代する。
十勝清水の次、羽帯は通過。この先の稲士別も通過するが、これだけ足が長いのに通過駅が2つしかないのは、北海道では結構優秀な普通列車ではないだろうか?御影では特急と、その次の上芽室信号場(写真)でも普通と交換。※追記・・・ネタとしてであろう、この年10月の改正で2駅に停車するようになった)
芽室ではまた特急と交換。小学生が乗ってきて車内は少しにぎやかに。続いて大成、西帯広でも学校が早終わりなのか高校生が多数乗車。一気に混雑列車になった。西帯広では約5分の停車で普通と交換。
西帯広を出て程なく帯広貨物駅に停車。ここでは先ほど新得で交代してそのまま便乗(ダイヤや作業の都合で運転せずに他の列車で移動すること)していた運転士を降ろす。そばに運転所があるためらしいが、便乗のためにわざわざ貨物駅に停まる列車も珍しい。
滝川から約4時間半、14:10に帯広到着。14分停車する。学生も半分くらいは降りた。
ここでは特急に抜かされる。これだけチンタラ走る普通列車だが、他の列車に抜かされるのはここだけ。特急は6分遅れていたが、2429Dに影響はなく定刻発車。
帯広の次、札内(さつない)でも多くの客が降りて再び車内が静かになってくる。幕別では特急と交換で約5分停車、少し特急が遅れていた。別、別、別といかにも北海道的な駅名が続く。
幕別を過ぎると十勝川を渡る。
十勝平野の中を走る。北海道はこのような雄大な景色が魅力。
実はこのあたり、学生時代に特急「まりも」に釧路から乗った時に通っているので初めてではないのだが、何せ夜行で外は見えないし寝ていたのでほぼ記憶がない。
帯広から約30分で池田。ここでも数人乗り降り。池田駅のメロディーは明日にしてこのまま発車。
十弗(とおふつ)には、10ドル紙幣の看板が。「十弗」が「じゅうどる(「弗」はドルの漢字表記)」と読めるためだとか。看板には「10ドル持って旅に出よう。きっといいことが待っている。」とってもいい響きだが、10ドル……800円くらいか……(当時レート)。
浦幌。普通と交換のため数分停車。数人が降りこの時点で乗客は私のほかに3人。うち2人は滝川でも見覚えがあるお顔。
浦幌の次、常豊信号場では貨物列車と交換のため停車。
厚内(あつない)を過ぎるとようやく海が見えてくる。昨日は日本海側だったが、今日は太平洋だ。
しばらく走ると内陸に戻り今度は沼地の中へ。
音別ではさっきいた3人のうちの1人が降り、入れ替わりに池田以来の乗車となる地元客女性3人組が。
古瀬では特急と交換で約5分停車。ここは例の有名秘境駅サイトでも全国ベスト9に入るほどのレベルの駅。先ほどの音別からの乗客ら、古瀬に着くなり「ここ古瀬?古瀬なんて誰も降りないでしょ?」とのこと。
釧路までもうあと1時間、日も傾き始める。
白糠では約5分停車。先ほどの3人組はここで降りたが、この駅以降、各駅1〜2人乗ってくる。ここまで来るともう釧路のエリア。
大楽毛(おたのしけ)では12分停車。貨物と普通列車2本交換。学生が多数乗車してきた。この近辺だけ霧が濃かった。
最後の駅、新富士。8時間の列車旅もあっという間に終わってしまう。
17:39定刻で釧路到着。随分涼しく長袖を羽織る。この時期北海道の周りの地域が25度とかなのにここは最高気温19度だった。それでも半袖の人が多い。北海道の人はやっぱり強いようだ。
今日はこの列車1本で一日が終わった。
この2429Dに滝川から完全乗車し、当日中に釧路駅の改札口でそれを申告し乗車券を提示すると、写真の「完全乗車証明書」をもらえる(詳細はJR北海道釧路支社サイトへ)。今回の旅のいい記念品になった。
駅構内にあるラーメン屋、「石炭ラーメン」なるものが目に入り食べてみる。スープ・麺ともに黒いが石炭が入っているわけではないみたい。マニアな方がやっているのか店内は古い鉄道の時刻表や雑誌、サボとかいろいろ飾ってあった。

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