音響設備メーカー別 駅メロ分類
音響設備メーカーで見る駅メロの違い

2.音響設備メーカー別のメロディー分類(続き)


(4)パナソニック(製造・公式サイト)・旭電通(販売・公式サイト
 パナソニック(旧・松下電器産業)は1935年設立、本社は大阪府で、日本を代表する電機メーカーのひとつ。旭電通は1948年設立、本社は東京都で、パナソニックの鉄道関連製品を販売する代理店。
 JR東日本のほぼ全域で使用され、特に千葉、水戸、横浜支社など郊外地域に多い。ほかにJRと関係の深い東京臨海高速鉄道(りんかい線)、しなの鉄道、仙台空港アクセス線。変わり種ではグループ1Dや2Bの曲がJR貨物関西支社管内の貨物ターミナルで作業員用の発着警報音に使われている。台湾のお気に入り?の系列で、かつては通勤電車の車内チャイムに使われていたりした(車両が日本製だったのが関係か)。

◎グループ1 東洋メディアリンクス(公式サイト)制作
 旧社名は東洋BGM。公共施設などのサウンド演出を手掛ける。
○グループ1A
曲の例 Water Crown ・Verde Rayo ・Cielo Estrellado ・Gota del Vient[外部]
作曲 三留研介・若林剛太共作
初採用 1990年3月時点で既に東京やくりこま高原などで使用
主な使用駅 横浜、大宮、小山など
 パナソニック系の中でもごく初期から使われているメジャーなグループ。JR東の駅での採用数はトップクラスで「どこに行っても流れている曲」。特に水戸支社管内では基本的に「Water Crown」と「Gota del Vient」の組み合わせで統一されている。尺は15秒前後とやや長め。「Cielo Estrellado」以外はエンドレスバージョン、「Verde Rayo」にはストリング音色のバージョンも存在。
 台湾・高雄メトロに「Gota del Vient」そっくりな発メロ[外部]があるが、果たして関係は?(試運転時には本物を使っていた。入線メロディーはユニペックス系の「せせらぎ」[外部]。音源集CDの音か?)
 作曲した2名は現在、3のスイッチの契約作曲家。


○グループ1B
曲の例 <近郊地域17番> ・<近郊地域18番> ・<川越1番>[外部]
作曲  
初採用 1990年頃
主な使用駅 新秋津、藤沢、安中榛名など
 1Aと同時期に採用され、同じ駅で使われることが多いが、曲調はまるで違い警告音のよう。<川越1番>に至っては何を考えて作ったのかさえよくわからない“不気味な”メロディーだった。採用駅はあまり多くなく、現在は<近郊17番>が武蔵野線などの数駅で使われているのみ。

○グループ1C
曲の例 <近郊地域19番> ・<近郊地域20番> ・<東海道4番>など[外部]
作曲  
初採用 1990年11月時点で既に武蔵境で使用
主な使用駅 橋本、藤沢、成田空港など
 オルゴール風の音色、5秒程度で完結する簡単なメロディー、さらにはコード進行のパターンも全曲同じ(典型的なスリーコード)で統一感がある。パナソニック系の中での勢力は弱めで長らく新規採用もないが、傾向として発メロ導入が早かったや横浜支社管内の相模線の駅や、千葉支社管内の成田空港などで聞かれる。盛岡支社管内では<東海道4番>が接近メロに使われている例も。
 <近郊20番>が1980年代に放送されていた石丸電気のCMソング[外部]そっくりなのをはじめ、既存曲の一節の引用を思わせるものも。2001年から相模線で使われている<近郊20-1番>はどういうわけか、それよりも前から「発車ベル使用状況」でひっそり公開されていたMIDIファイルの音なのだが……。


○グループ1D
曲の例 JR-SH1 ・JR-SH3-3 ・JR-SH5など[外部]
作曲 塩塚博
初採用 1994年頃 武蔵新城?
主な使用駅 東京、新橋、御茶ノ水など
 同社の子会社「五感工房(ジーケイ)」のプロジェクトで制作された。「JR-SHシリーズ」と呼ばれ、東京をはじめ中央線や総武線を中心に多くの駅で聞くことができる。
 尺は10秒程度、作曲者が「ゴージャスオルゴール」と名付けた独特の音色。1曲につき3種類の音色違いがあるが、枝番が-2に相当するバージョンの採用はない。接近用も制作し、御茶ノ水や多摩モノレール(発車メロとして)などで使われたがあまり浸透しなかった。ただ2010年に内房線太海〜九重間で奇跡的に採用された。
 このグループをもって東洋メディアは駅メロ制作から手を引いており、塩塚氏は現在、3のスイッチと契約して活動している。


◎グループ2 テイチクエンタテインメント(公式サイト)制作
 レコード会社。制作当時の社名はテイチクで、松下電器の傘下にあった。
○グループ2A
曲の例 醍醐寺の鶯 ・古都の朝靄 ・春開き ・詩仙堂鹿脅し
作曲 櫻井隆仁
初採用 1997年10月 京都市営地下鉄東西線
主な使用駅 京都市営地下鉄東西線
 テイチクが初めて手掛けた発車メロディー。京都=和風のイメージにするため街を歩いて構想を練り、水琴窟の音を使うことを思いついたという。のちにJR東で使われる2Bの曲の基礎となった。

○グループ2B
曲の例 twilight ・新たな季節 ・すすきの高原など[外部]
作曲 櫻井隆仁
初採用 1997年11月 新宿
主な使用駅 新宿、池袋、立川など
 テイチクの発メロ事業担当者が立ち上げた3のスイッチを通して制作されたグループ。新宿でヤマハ系のメロディーと交代する形で登場。同駅では2001年までにすべてが置き換えられ、全14ホーム毎に異なる曲が採用された。2000年代にかけて首都圏を中心に広がりを見せたグループ。
 短いながら音楽性が高く、それまでのJR東の発メロとは雰囲気が全く異なる。乗り降りや停車にかかる時間や乗客の心理を考え、「歩く程度の速さのテンポ」「7〜10秒で完結」「終止形で終わらせる」というルールのもと制作。レパートリーが豊富で音色違いも含め100曲近くあるが、故に1曲当たりの採用駅数は少なく、いまだ使われていない曲も多い。2005〜07年の一時期には、名古屋市営地下鉄の接近メロ[外部]にも使われた。台湾にあるカルフールでは「美しき丘」の盗作モノ?が時報で流れている[外部]というのだが、これはさすがにアウトでは……。
 櫻井氏は1999年に独立し「櫻井音楽工房」を設立。2003年に「鉄腕アトム」(高田馬場、新座)を制作した。

◎グループ3 スイッチ(公式サイト)制作
 2のテイチクの発車メロディー事業担当者が立ち上げた会社。当初はテイチク(のちに独立し櫻井音楽工房)の櫻井隆仁氏と提携して2Bの曲などを制作。2007年以降はかつて他社で駅メロを手掛けた塩塚博氏、福嶋尚哉氏などと契約し制作事業を展開。
○グループ2B
グループ4の項を参照。

○グループ3A
曲の例 めだかの学校verE ・信濃の国 ・東京メトロ南北線発車メロディーほか
作曲 塩塚博、福嶋尚哉、山崎泰之ほか
初採用 2003年3月 高田馬場
主な使用駅 JR東日本、京急、東京メトロなど
 音響設備メーカー→音楽制作会社の流れではなく、鉄道会社から直接受注したものや、自治体やその他団体から既存曲を駅メロ用にアレンジする「ご当地駅メロ」の制作を受注したもの。初めは高田馬場の「鉄腕アトム」で、2Bの流れから櫻井音楽工房に委託。八王子の「夕焼け小焼け」、奥多摩の「どんぐりころころ」などはサウンドフォーラムに委託したとみられる。以降は塩塚氏、福嶋氏など複数の作曲家と契約し制作。
 会社単位で受注した例としては京急や東京メトロが代表的。メトロの場合は全9路線中、東西線と銀座線の一部を除いてスイッチの曲が採用されている。数社とコンペで競って権利を獲得し、メトロ社内での試聴会を経て選曲されているという。


○グループ3B
曲の例 ムーンストーン ・ジュピターB ・恋の通勤列車[外部]
作曲 塩塚博、福嶋尚哉、三留研介・若林剛太ほか
初採用 2007年3月 南船橋
主な使用駅 市川、成田、伊勢崎など
 2007年から採用されている、新たにJR東向けに制作されたグループ。初採用は南船橋の「海辺の散歩」で、以降は千葉、高崎支社管内など郊外エリアを中心に広がりを見せ、旧来のメロディーを置き換えている。現在新規に採用される曲の多くはこのグループで、今も新曲が発表されている。ほとんどが塩塚氏または福嶋氏作曲で、前者は「JR-SHシリーズ」と同じゴージャスオルゴール音色、後者は鉄琴風の音色が特徴なのですぐ判別がつく。2B同様曲数が豊富だが、1曲当たりの採用駅数は少なく、多くても数駅にとどまる。
 唯一既存曲のアレンジである「ジュピター」シリーズは、もともと携帯サイトの企画で「駅メロ風アレンジ」として配信されていたものが後から駅で採用された希有な例。

◎グループ4
曲の例 朝の教会 ・田園浪漫A ・ドリーム・パークほか[外部]
作曲 土谷知幸(一部)
初採用 2008年6月 竜王
主な使用駅 竜王、両国、安房鴨川など
 この系列であるものの、制作元が判明していない曲。このうち「朝の教会」「高原のつぶやき」はアニメ音楽などを手掛ける土谷知幸氏のもので、「コンペに出した」「制作、音楽事務所等を通した」旨を自身のブログで明かしている。どれも1曲1駅だけでの採用で少数派。

_1_ _2_ 3 _4_ _5_

ご当地駅メロディー資料館トップへ戻る