音響設備メーカー別 駅メロ分類

 JR東日本の発車メロディーをはじめとする「駅メロ」について、ファンの中では音源の制作会社別に分類し区別していることが多い。本記事では視点を変え、駅に納入されている音響設備のメーカー別にメロディーを分類し、その特徴や使用地域の傾向などを調査してみた。

 ※当サイトでは通常、汎用物の駅メロについては扱っていないため自前の音声等が用意できないことから、必要に応じて外部の動画サイトなどへのリンクで対応している(外部へのリンクは[外部]と記している)。
 ※曲名が無いまたは不明なものについては便宜的に、ファンサイト『発車ベル使用状況』で使用され広く通用している<近郊地域○番>といった整理番号などで示すこととする(<>カッコで表記)。
 ※本記事の作成にあたり関係会社への取材等は行っておらず、個人趣味の範囲で調査したものである。夏休みの自由研究程度と考えてお読みいただければ幸いである。

1.音響設備の製造からメロディー決定までの流れ

 JR東日本の駅を例にとると、パナソニック、日本電音(ユニペックス)、永楽電気など複数のメーカーから音響設備が納入されている。それぞれのメーカーは製造にあたって発車メロディー音源を用意することとなるが、たいていは外部の会社等に発注することとなる。どの会社の設備を納入するかは上層部の支社や本社が決めることで、駅にその権限はないとみられる。そして納入の際、メーカーなり工事施工会社が提示した複数のサンプルから、どのメロディーを使うのかを駅が判断することとなる。よく「メロディーは駅長が決める」と言われるがそれは最終判断であり、実際には当該駅員らが話し合いのうえ決めているようだ。

 つまり、パナソニックの設備が納入された駅にはパナソニックが用意した音源から、日本電音(ユニペックス)の設備が納入された駅には日本電音が用意した音源から選ばれるわけである(稀に例外もあり)。どのメロディーを使うかは駅が判断するが、「どの系列のメロディーが使われるか」については、納入された設備のメーカーの違いが大きく影響することとなる。

 メロディーは変更されることもある。老朽化による音響設備の取り換えや、駅側の都合(ホーム判別のため、利用者からの意見)、外部からの要望を受けた「ご当地駅メロ」化など要因はさまざま。設備の取り換えの際にメーカーを変えた場合は、新しいメーカーが用意した音源から選ばれる(例:東京〈ユニペックス→パナソニック〉、大崎〈永楽電気→ユニペックス〉など)。稀に一つの駅で異なるメーカーのメロディーが同時に使われていることもあるが、これはホームによって設備のメーカーが異なっていることが考えられるほか(例:秋葉原 1〜4番線はパナソニック系、5・6番線はユニペックス系)、周辺の駅とのメロディー統一化のためや選曲の背景からあえて音源だけを引き継ぐなどし、メーカーと音源の制作会社との関係が一致していない場合もある(例:南武線西国立〜分倍河原間 パナソニック系と永楽電気系の音源を同時使用、館山 永楽電気→パナソニックに変わったあとも音源は前者のまま)。

 なお最近は「ご当地駅メロ」の増加や、鉄道会社から直接音源制作を依頼する例も増えていることから、一概にこの法則に当てはまらいこともある。東京メトロの場合、コンペで競い選ばれた音楽制作会社の音源を、社員が試聴したうえで曲を選んでいるという。

 各社の設備はJR東日本に限らず、他の鉄道会社にも納入されている。以上を踏まえれば、納入された設備のメーカーが同じであれば全く同じ音源が使われる可能性もある。よく『東武鉄道の発車メロディーが遠州鉄道でも使われている』とか、『かつての西武鉄道の発車メロディーが、JR西日本米子支社で入線メロディーに使われている』といった言われ方をするが、これはたまたま両者が同じメーカーの設備(音源)を使っているだけのことであり、決して「パクリ」ではないのである。

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