割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅(その6)

 四国一周は前からやってみたいことの一つであった。しかし、鉄道が通っていない区間もあり、2012年の北海道の時のようなフリーパスだけでは、元が取れない・有効期間が足りない・途中の観光時間がつくれないなど難があった。そこで今回は、旅行会社や現地で発売している割引きっぷと路線バスを使い、途中での観光も挟みながら、できるだけ安く四国一周を果たすことを目的とした旅を計画した。
 4泊6日(1日車中泊)の「割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅」の記録。

 最終日の6日目は松山から東京へ戻る。

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【6日目】
 いよいよ最終日。この日は北陸新幹線の開業日。テレビのニュースは新幹線一色であったが、北陸とは縁のないJR四国はこの年ダイヤ改正すらなく、いつも通りの休日を迎えた。午前中は松山市内をぶらぶらして帰ることとする。
 松山は、JRの駅前よりも地元の私鉄、伊予鉄道の松山市駅(通称「市駅」・上段最左)の方が栄えている。市駅の駅ビルには高島屋が入っているし、地方駅の雰囲気のJRとは雲泥の差だ。
 ロープウェイに乗って松山城へ(上段左から2番目)。松山城の大天守(上段左から3番目の中央)は、全国で12カ所しかない江戸時代から残っている天守の一つ。天守からは市内を一望。帰りは登城道を下って市役所前までショートカット(下段最左)。
  松山駅に戻る。ちょうど、四国が宣伝中の観光列車「伊予灘ものがたり」が入線してきた。この日は予約で満席。
松山 13:26発
↓予讃・瀬戸大橋線20M
特急しおかぜ20号
岡山 16:11着
東京へ戻る第一列車は特急「しおかぜ」。高松のことでん以来の「電車」となる。四国のJRで電化されているのは、この予讃線と瀬戸大橋線、土讃線の一部だけだ。
指定席は「Sシート」と呼ばれるリニューアル車両で、自由席よりも設備ランクが高い。岡山までは2時間半以上の道のりだが、座り心地もなかなかで快適だった。
松山から東京までは、行きのサンライズで使ったパック商品の復路分を利用。このように行きは東京→高松、帰りは松山→東京というように発着駅も選べ、利用距離が長くなるほど正規より安くなるので、できるだけ正規運賃を使う場面を少なくした。
およそ1時間で伊予西条。駅前には四国鉄道文化館。中の0系新幹線もちらっと見えた。
しかし……この一週間後ここのメロディーが変わるとは……。もうしばらく四国に来ることはないと思っていたが、またここに来る日はそう遠くないのかも。
詫間を過ぎると一面に瀬戸内海が広がる。思えば今回は、終始海と付き合う旅だった。
ここから海岸寺までは、線路脇まで海が迫ってくる、予讃線のハイライトだ。
岸壁隔てて向こう側は広い瀬戸内海。
松山出発から2時間、宇多津に到着。
これでのべ5日かけた四国一周達成。
松山から連結していた高松行きの「いしづち」が切り離され、岡山行きの「しおかぜ」は瀬戸大橋へ。
これで四国ともお別れだ。
岡山 16:32発
↓東海道・山陽新幹線
↓40Aのぞみ40号
東京 19:53着


東京 21:11発
↓総武・外房線1987F
快速(千葉から4987F)
土気 22:12着
橋を渡り岡山に到着。あとは新幹線で帰るのみ。
「のぞみ」で東京まで約3時間20分。
東京には20時前に到着。前述のとおり、今日はJRのダイヤ改正日。東京は北陸新幹線と上野東京ライン開業で活気にあふれ、5日前の出発日とは様変わり。

しかし上野東京ライン、京浜東北線内での異音の確認の影響を受けて初日からダイヤ乱れ。いきなり運行情報を伝えるディスプレイで上野東京ラインの路線図を完成させていた。
北はいわき・黒磯・前橋、南は沼津・伊東まで、遅れが広範囲に広がることは前々から懸念されていたことではあるが、できるだけ最小限に留められるように期待したい。

●今回の旅の精算
 ということで6日間かけて四国一周をしてきたのだが、はたしてどれだけ安く行けたのか。
今回の交通費 正規で購入した場合
日本旅行 フリープラン
「サンライズ瀬戸・出雲号セットプラン」
・「ビジネスのぞみ号セットプラン」
東京都区内-高松・松山-東京都区内

高松築港-志度(ことでん)
志度-鳴門(乗車券)
志度-池谷(自由席特急券)
鳴門-徳島(乗車券)
徳島・室戸・高知きっぷ(徳島発)
四万十・宇和海フリーきっぷ
(片道タイプ自由席用・高知→松山)
33,600
(宿代相当
を除く)


430
1,090
520
360
4,980
4,940
東京都区内-海部(乗車券)
東京-高松(特急・寝台券B個)
高松築港-志度(ことでん)
志度-池谷(自由席特急券)
池谷-鳴門(乗車券・往復)
徳島-阿南(自由席特急券)
海部-甲浦(阿佐海岸)
甲浦-岬ホテル(バス)
室戸岬-平尾第一(バス)
平尾第一-奈半利(バス)
奈半利-宿毛(土佐くろ・JR)
高知-中村(自由席特急券)
宿毛-宇和島(バス)
宇和島-東京都区内(乗車券)
宇和島-内子(自由席特急券)
内子-松山(自由席特急券)
松山-岡山(特急券・乗割)
岡山-東京(特急券のぞみ)
12,570
     10,800
430
520
440
320
270
1,430
600
840
4,310
1,590
1,800
13,220
1,180
520
1,450
6,860
45,920
(円)
59,150
(円)
運賃・料金は2015年3月現在。特に記載がないものはJR線。
一周行程から外れる交通機関(徳島バス・とさでん交通など)については含んでいない。
土気〜東京については別途有効な乗車券を用意した。特急料金は通常期で算出した。
 差は13,230円。1万円以上の差を出すことができた。

 ちなみに、この2年前に発売され破格の安さだった「四国たびきっぷ」を使った場合とも比較してみた。
※「四国たびきっぷ」…東京都区内からの往復と四国フリーエリアのセット。岡山までは新幹線指定席が利用可。フリーエリアは岡山からの瀬戸大橋・宇野線とJR四国・阿佐海岸・土佐くろしお全線で、特急自由席が利用可。5日間有効で大人35,000円。これは当時の東京〜岡山の「のぞみ」指定席往復に、わずか3,320円プラスした額に相当した。現在は名古屋市内発のみ発売。
「四国たびきっぷ」を
利用した場合
四国たびきっぷ
高松築港-志度(ことでん)
甲浦-岬ホテル(バス)
室戸岬-平尾第一(バス)
平尾第一-奈半利(バス)
宿毛-宇和島(バス)
 35,000
430
1,430
600
840
1,800
40,100
(円)
 「たびきっぷ」の値段は2014年の消費増税前のものなので、今現在の値段で考えるともう少々高くなる。
 今回の旅行は1日車中泊を含む6日間の行程だった。「たびきっぷ」は5日間有効で往復は新幹線しか利用できなかったので、まったく同じ行程では使えないが、日本旅行セットプランで行きに東京から高松まで新幹線+普通を利用した場合、往復で27,000円、交通費合計では39,320円となり、松山から特急指定席を利用するのにもかかわらず「たびきっぷ」より780円安くなる。
 サンライズ瀬戸の寝台料金は7,560円(B寝台個室シングル)なので、40,100円に約5,800円プラスして寝台を使えると考えれば、今回のきっぷの組み合わせは「たびきっぷ」にも勝るものといえるだろう。