割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅(その5)

 四国一周は前からやってみたいことの一つであった。しかし、鉄道が通っていない区間もあり、2012年の北海道の時のようなフリーパスだけでは、元が取れない・有効期間が足りない・途中の観光時間がつくれないなど難があった。そこで今回は、旅行会社や現地で発売している割引きっぷと路線バスを使い、途中での観光も挟みながら、できるだけ安く四国一周を果たすことを目的とした旅を計画した。
 4泊6日(1日車中泊)の「割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅」の記録。

 5日目は愛媛に突入し松山へ向かう。

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【5日目】
宿毛駅 8:17発
↓宇和島自動車
↓(宇和島バス)
宇和島駅前 10:08着
引き続き「四万十・宇和海フリーきっぷ」を使って松山へ。早速、フリーきっぷで乗れる宇和島自動車(宇和島バス)で宇和島へ向かう。
今回のバスも2時間近い道のりなので、今日こそは大きいバスが来るかな、と宿毛駅前で待っていたが、またしても普通のバス…。
バスは市中心部の宿毛営業所発だが、先客はおらず宇和島から私ともう一人が乗車したのみ。
バスは駅を出て国道56号を北へ。次第に山の奥に入り、10分ほどで「県界」という分かりやすいバス停を通過。ここで愛媛県に入った。
宿毛から約30分、開けた街に入った。愛媛に入り最初の町、愛南町城辺(じょうへん)だ。8:48に城辺営業所に到着。ここは町内各方面への路線や松山行きの特急バスも発着するターミナル。宿毛からのもう一人の乗客はここで降りたが、途中の街中から入れ替わり数人乗車してきた。
街を抜け、室手を過ぎると海岸線に出た。車窓に広がるのは大分県との間にある豊後水道で、向こうにはうっすらと九州の陸も見えた。
鳥越トンネルを過ぎると宇和島市。すぐに小さな漁村に入った。ここは津島町浦知。海岸線が入り組んでおり、町並みが昔ながらだ。真珠の養殖をやっているのか、「真珠」の看板も見えた。
再び海を離れる。
9:36、旧津島町の中心部、岩松営業所に到着。ここで一気に10人程度が乗ってきた。この辺りまで来ると宇和島に出る人が多いようだ。
宇和島の市街地に入ると降車客が多くなった。
途中の「元結掛口」、なかなか難しい名前だ。街中を右左折しながら高校や市立病院などを回って、宇和島バスセンターで2人下りたのを最後に私だけに。宇和島駅まで乗っていたのは私1人だった。
宇和島 10:42発
↓予讃・内子線1060D
特急宇和海10号
内子 11:39着
宇和島からは鉄道に戻って、松山方面へ。
この「宇和海」は、宇和島と松山を結ぶ短距離の特急列車だ。

始発駅なので乗客はまばらだった。この車両、先頭最前列のデッキ側の壁が窓になっていて、前がよく見えるようになっている。

伊予大洲を過ぎると、長浜方面の海側ルートと内子方面の山側ルートが分岐する。特急は距離の短い直進の山側ルートに高速で突入。
今日はここ、内子で途中下車。「四万十・宇和海フリーきっぷ」のフリーエリアからは外れているが、片道利用という特性からか、発着駅からフリーエリアまでの区間でも後戻りしなければ途中下車できるようになっている。通常の往復+フリーエリアのきっぷの場合途中下車はできないので、これもなかなかお得だ。
  内子町は、古い町並みが残されていることで知られている。
江戸から明治時代にかけて和紙や木蝋の生産で栄え、写真の八日市・護国の町並み保存地区には、これらで富を得た商家の屋敷が並んでおり、外壁には漆喰が厚く塗り込められていることから「白壁の町並み」とも呼ばれている。白と黒のコントラストが美しい。
内子駅からは徒歩15分ほど。
 
 町並み保存地区近くにある、一風変わったスポット「商いと暮らし博物館」をご紹介。「大正時代の薬屋の暮らし」をテーマにしており、町の資料館も兼ねている。江戸後期から残っているという建物もなかなか見ものだが、それ以上に目を引くのが店先にいるリアルな人形。しかも喋る。これは「モヤモヤ」している。
 ここは実際に明治から営業していた薬局の建物で、中では薬屋の仕事ぶりや大正期の商家の暮らしを再現している。

 中に入ってみると、人形と見学スペースの区切りはなく、人形がいる部屋まで入ることができる。人が近付くとセンサーで人形が喋ったり動いたりするようになっており、その会話の内容も「炊事洗濯が大変…」「娘の進学先が…」といったものなど、一家族の日常が垣間見える。また、当時のしきたりも細かく再現され、例えば朝食の様子(上段右写真)では、一家は白米だが使用人(写真手前)だけは麦飯を、しかも座敷の外で食べている。当時、白米を食べていたのは裕福な家だけだったそうだ。さらに女中は皆が食べ終わった後に食事を取っていたことから、女中の分が部屋の外に置いてある。

 2階に上がると薬の在庫整理などの様子を再現。ここでは夜、仕事の合間に使用人が薬の勉強中(下段右写真)。周りには古い薬瓶がずらり。ここでも勉強がはかどらないなどとぼやいている。ほかにも「隠居した創業者が囲碁の研究をしているところ」など、細かすぎるこだわりのシーンも。内子駅から徒歩約15分、入館料200円。
  お昼は、本町通りにある「りんすけ」にて。おすすめの「鯛めし」を頼んだ。鯛めしというから、炊き込みご飯みたいなのを想像していたのだが、出てきたのは刺身を盛り付けた丼ぶり。中央にのっている生卵をからめ、お好みでダシをかける。
この地方の郷土料理らしいが、地域によってスタイルが違うとのこと。
内子 13:49発
↓予讃線1064D
特急宇和海14号
松山 14:13着
内子駅に戻り、再び特急「宇和海」へ。入ってきたのは、ラッピングが楽しいJR四国自慢の「アンパンマン列車」。アンパンマンの作者であるやなせたかしが高知出身の縁から走っているのだが、今では四国中で運行。車内放送もアンパンマンがやってくれる。
内子から松山までは約25分。松山からも気軽に足を延ばせる距離だ。
松山では、岡山や高松から来る特急も発着し賑わう。ホームは3番線までだが、宇和島方面の列車は宇和島寄りに、岡山方面の列車は岡山寄りに停めるようにしている。特急は同じホームに2本の列車を停め、乗換がスムーズにできるようになっている。
  松山駅で少し撮影をし、路面電車で松山市駅近くのホテルへ。
夕方からの乗車だったが、これから道後温泉へ行くことも考え、3回乗車で元が取れる「市内電車・バス1Dayチケット」(400円、※現在は市内電車のみで500円)を、駅の観光案内所で購入した。
  ホテルに荷物を置き、再び路面電車で夜の道後温泉へ。金曜日とあってここは人は多かった。歴史ある名湯であるから、さすがにシャンプーや石鹸などの常備はないので、持参するか館内で購入する。館内で売っているみかん石鹸(30円)なんかおすすめ。

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