ご当地駅メロディー資料館
計画中のご当地駅メロディー

「ウルトラマン」シリーズのテーマ曲など
(JR東北本線須賀川駅)

 「ウルトラマン」シリーズで知られる特撮監督・円谷英二氏の出身地、福島県須賀川市では、「ウルトラマン」など円谷作品を生かした観光施策に取り組んでいる。2013年にはウルトラマンの故郷「M78星雲 光の国」と姉妹都市を締結。2020年に策定した「須賀川市観光振興アクションプラン」では“特撮文化”を伝承する観光まちづくりを目指しており、そのなかでJR須賀川駅の発車ベルに円谷作品のテーマ曲を使う案が出されている。まずは駅の利用客へ須賀川の存在を印象付け、市と特撮文化のつながりを知ってもらおうという狙い。短期的施策と位置づけ、2022年度までの実施を目指している。

久喜市の歌
(JR宇都宮線・東武伊勢崎線久喜駅など)

 埼玉県久喜市では、久喜駅など市内にあるJR、東武鉄道の駅の発車メロディーを市の歌「笑顔のまち永遠なれ」に変更するよう要望を続けている。歌の活用と市のPRが目的。歌は2012年、同県出身でロックバンド「ゴダイゴ」のメンバー、タケカワユキヒデ氏が制作した。地元さいたま市の歌「希望(ゆめ)のまち」も手掛けたタケカワ氏は歌の定着を図るため自ら発車メロディーへの採用を提案し、市内のJRの駅で流されている。「笑顔のまち永遠なれ」も同様にタケカワ氏が発車メロディー用音源を用意しており、いつでも採用できる状態であるという。

 市によると、JR東日本は現在、市の歌など地域が限定された曲は基本的に採用しない方針だという。東武鉄道では変更できる可能性はあるものの、安全に支障をきたさないよう厳しい条件になるとの回答だったという。加えて費用面での課題や、鷲宮駅では同市ゆかりのテレビアニメのテーマソングを、栗橋駅では近隣の加須市出身の作曲家・下総皖一が手掛けた童謡の採用を求める声もあり、実現には至っていない。

下総皖一作品
(JR宇都宮線栗橋駅、東武伊勢崎線加須駅など)

 埼玉県加須市出身の作曲家・下総皖一(しもおさ かんいち・1898-1962)が手掛けた童謡や唱歌を、市内にある東武伊勢崎線などの駅の発車メロディーにしようと、地元団体などが活動している。

 下総は市東部の旧・原道村の生まれ。「たなばたさま」「花火」「電車ごっこ(編曲版)」といった童謡や唱歌、県内の小中高校歌など幅広い曲を手掛けた。彼の功績を知ってもらおうと、2016年に市民団体「下総皖一を偲ぶ会」が発車メロディー化を求める2,874名分の署名を市に提出。これを受け市は、加須駅など市内の東武鉄道4駅と、彼の出身地に近い近隣の久喜市にある栗橋駅での採用を目指し、JR東日本や東武鉄道に対し要望を行った。

 東武鉄道によると、地元での知名度や同社の営業活動に寄与できるかなどの条件をクリアできれば個別に対応するという。一方、栗橋駅は久喜市からの要望が必要なこと、同市も別の発車メロディーに関する要望を出していることもあり実現は厳しいとの見方である。

松竹映画の音楽
(JR東海道線など大船駅)

 神奈川県鎌倉市大船には、かつて映画配給大手の松竹大船撮影所があった。それまでの蒲田撮影所(東京都大田区)に代わり1936年に開設された大船撮影所では、人気シリーズ「男はつらいよ」などの製作が行われ、街は撮影所と共に大いに発展した。しかし同社の経営悪化で2000年に撮影所は閉鎖。街から撮影所があった痕跡も消えつつある。

 そこで大船を再び映画の街として活気づけようと市民らが立ち上がり、2016年に市民団体「『映画の街おおふな』友の会」を設立した。友の会は大船を映画の街として知ってもらうため、JR大船駅の発車メロディーを松竹映画の音楽にすることを目標の一つとして活動を進める方針。大船撮影所で製作された作品から選曲して、JR東日本や松竹と協議するとしている。

Official髭男dism
(JR山陰本線など米子駅)

 鳥取県米子市のJR米子駅では、山陰発のバンド「official髭男(ヒゲダン)dism」のヒット曲「Pretender」を、2024年4月6日から発車メロディーに使用する。

 メンバーのうち、ボーカルの藤原聡とドラムの松浦匡希が米子市出身の縁から、市民の提案をきっかけに市とJR西日本が企画。前年の新駅舎完成とともに駅の魅力を一層高める狙い。サビの部分をアレンジした2パターンを用意し、それぞれ1番のりば(主に岡山・鳥取方面)と2〜5番のりば(主に松江方面)から発車する山陰本線・伯備線の列車で流れる。放送は3年間を予定している。

 同日からは米子駅を通る特急「やくも」で新型車両の運行が始まり、車内放送チャイムにも「Pretender」「I LOVE…」の2曲が採用される。
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