青函フェリー(青森〜函館) 情報更新日…2023年11月11日 ※記載の内容は基本的に筆者の乗車時点のものです。最新の運行状況等をお確かめください。 |
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●基本情報
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●5段階評価
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●運行ルート(概略) |
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●鉄道駅と接続する主な発着場所とアクセス
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●乗船の記録 ○2016年6月22日(水) 9便(青森港14:35→函館港18:25) かつて連絡船で結ばれていた青森〜函館間の鉄道旅客輸送は、青函トンネルの開業後、在来線の時代を経て、現在は北海道新幹線がその役目を担っている。しかし現在でもこの区間には2つのフェリーが運航されている。 近年、青函間のフェリー客は減少が続き、2016年の新幹線開業でさらにそれが進むと思われていた。しかしふたを開けてみると、新幹線の開業以降、フェリー客は逆に増加。運賃・料金の高さや乗り換え発生の影響で鉄道移動が不便になり、運賃の安いフェリーに客が流れているというのだ。 ここで紹介するのは青函間で2つあるフェリーのうちの1つである「青函フェリー」だが、一般的に旅行客に使われるのはもう1つの「津軽海峡フェリー」である。カーフェリーとして知名度があり、設備も充実している。一方こちらの「青函フェリー」は、創業以来のトラック航送がメインであり、一般旅客の輸送はついでにやっているという印象が強い。だがこの「青函フェリー」の魅力は運賃の安さであり、10〜5月は1,600円、6〜9月は2,000円。更にクーポンの提示で1割引きとなる。北海道新幹線で新青森〜新函館北斗間を利用すると6,740円(乗車券+特定特急券)である。片道約4時間を要するので早さでは新幹線に太刀打ちできないが、交通費を浮かせるならもってこいだ。 この日乗船したのは「あさかぜ21」。客室はカーペット敷きで、他にロビーにはソファや椅子もある。トラック航送メインであるから徒歩や自家用車の客は少なく、この便では徒歩客は私のほか1名、自動車も1組であった。トラック運転手らは専用ロビーを使ったり、自車内に留まっているのか客室では見かけなかった。おかげで客室1部屋を一人で使え、テレビをつけて横になりながらまったり移動できた。天気も穏やかで揺れも少なく、一人で利用するのには申し分なかった。 しかし安い分、ある程度の準備も必要だ。先述のように旅客輸送は「ついで」なので、設備はいたって質素。フェリーターミナルには待合所と飲料自販機のみ。船内も売店等の設備は無く、飲料とカップ麺の自販機、電子レンジ、給湯器ぐらいで完全セルフサービス。船内での飲食の際は事前の買い込みが必須だ。また、乗船の際に放送は無く「何分になったら乗船口へ来てください」と窓口で言われるのみ。作業員が乗船券を切り、車と同じように船首(尾)から車両甲板を通って乗船する。下船では車が先で徒歩客は後回しとなる。しかしこの日は徒歩客が2名しかいなかったためか、車が停まっている甲板の中を作業員に連れられて、ハッチが開くと同時に下船させてもらえた。本当に「ついで」に扱われている感じが強いが、「貨物船に乗せてもらってる」とでも思えばこんなものだろう。 一番の難点であるのが鉄道駅から港へのアクセスの悪さ。観光客の多い「津軽海峡フェリー」は両港から駅までバスで結ばれているのに対し、「青函フェリー」は最寄りのバス停からは5〜10分歩くこととなる。今回、青森側では時間に余裕があったので青森駅から30分ほどかけて歩いたのだが、函館側では、10分ほど歩いて最寄りの北浜町バス停にたどり着く直前に函館駅行きのバスに行かれてしまい、結局、更に約20分ほど歩いてJR五稜郭駅まで向かい函館行きの電車に乗車した。結果的に青森駅から函館駅までの移動時間は6時間(青森港での待ち時間1時間を含む)になってしまったので、このフェリーを使って両岸を鉄道で乗り継ぐ計画を立てる場合には、ある程度時間に余裕を持たせておきたい。 ○2017年7月2日(日) 15便(青森港23:30→函館港[翌]3:20) この日は「北海道&東日本パス」で北海道・稚内を目指す旅の途中に利用。初めての夜行フェリー乗船であった。普通列車限定の「北海道&東日本パス」でも特定特急券を購入すれば3,930円で北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間を利用できるが、函館での宿泊代を含めると1万円程度にはなってしまう。フェリーなら1,800円(クーポン1割引適用)で移動&仮眠。安く行くならこれしかない。 20時過ぎに新青森駅に着き、駅から10分程度の吉野家で夕食とした後、「あおもり健康ランド」で入浴。この時間なので既にバスは走っておらず、青森港まで夜道を約30分歩いた。道幅が広い幹線道路で、明かりもあるので特に不安はない。 この日は2014年就航の新造船「はやぶさ」に乗船。前回乗った「あさかぜ21」とは違い旅客設備に力が入っており、吹き抜けのエントランスやリクライニングシート、女性専用室を設けるなど、貨物本業の青函フェリーにしては洒落た内装だ。車両甲板から乗船、一般客は30名ほどでうち徒歩客は7名。複数ある客室に散らばったので混雑しているという印象は無い。 函館までは3時間50分。夜行とはいえ休憩できる時間は短いので、船内探検もほどほどにすぐに横になった。エンジン音があるほか、消灯もしないので気になる人はアイマスクや耳栓を用意した方が良い。また寝具は無く、複数人で使う長枕があるだけだったが、今回は夏なので特に問題なし。以前は静かでちゃんとしたところでないと寝られない体質であったが、泊まり勤務で鍛えた精神力(?)で乗り越えられてしまった。 函館港には定刻の翌3時20分に到着。まだ外も暗いのでしばらくフェリーターミナルの待合室で待機。4時30分、外が明るくなり折り返し青森行きの便が出たところで港を後にした。しかし最寄りの北浜町バス停やJR五稜郭駅まで行っても、バスや電車の一番手はいずれも7時ぐらいで待ちぼうけを食らうだけなので、約3km先のJR函館駅まで歩くことに。港の周りは工場街なので観光地らしさはないが、海沿いの「ともえ大橋」を通ると函館の街と海が一望できて気持ち良い。5時半頃に函館駅前へ着くと名物の朝市が立っていた。食堂に入り海鮮丼で朝食とし、稚内に向けての気合いを入れるのであった。 |
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●補足 ・一部便は「危険物積載車両指定便」となる日があり、一般旅客の乗船を受け付けない場合もあるので要問合せ。 ・フェリーターミナルに売店等なし。青森側は新田バス停付近、函館側は北浜町バス停付近にコンビニあり。 ・「はやぶさ」にはステートルーム(4名個室)がある。利用人数に関わらず1室6,500円。 ・夜行便はドライバー室(2段寝台)が使用可。トラックドライバー優先だが一般客でも利用できる。追加料金なし。 ・青森〜函館間は「津軽海峡フェリー」も運航。青函フェリーより運賃はやや高いが、利便性や快適性に関してはそちらの方が上。「快適な船旅」を求めるなら津軽海峡フェリー、「とにかく安く」というのなら青函フェリー。 |
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●参考写真 |