駅間連絡バス・フェリーの旅

JRバスなんごくエクスプレスほか(松山〜高知)
情報更新日…2018年2月25日
※記載の内容は基本的に筆者の乗車時点のものです。最新の運行状況等をお確かめください。
●基本情報
運行事業者 @ジェイアール四国バス
A伊予鉄バス・とさでん交通
路線名 @なんごくエクスプレス
Aホエールエクスプレス
運行区間 @JR四国バス松山支店・JR松山駅〜高知駅バスターミナル・はりまや橋
AJR松山駅・大街道〜高知駅バスターミナル・はりまや橋
所要時間 @A約2時間35〜45分(※)
運行本数・間隔 @A計10往復/日
運賃・料金
(大人片道)
3,600円
主な割引きっぷやサービス ・「特割14」…14日前までのネット予約で片道1,500円(@のみ)
・ICい〜カード利用で1割引(Aのみ)
・「よりみちきっぷ」…片道・往復分の値段で、高知・松山の市内電車・バスの利用券つき(Aのみ)
・往復(1割引)、学生(2割引)
主な車内サービス ・無料Wi-Fi(JR、伊予鉄運行便のみ)
予約の要否 要予約(ネット、電話、窓口)
全国交通系ICカードの利用可否 不可
その他 ※所要時間はJR松山駅から高知駅バスターミナルのもの
公式サイト @ジェイアール四国バス
A伊予鉄バスとさでん交通
●5段階評価
項目 5段階評価 コメント
所要時間 ★★★★★ 鉄道では特急利用でも約4時間
運行本数 ★★★☆☆ 鉄道とほぼ互角だが、バスを待った方が到着は速いことも
運賃・料金 ★★★★★ ネットの早期購入割引は破格の安さ
車内設備 ★★★★☆ 高速バス車両4列シート、トイレ付
他の交通機関との接続 ★★★★★ 松山・高知ともJR・私鉄駅への接続良好
●運行ルート(概略)
●鉄道駅と接続する主な発着場所とアクセス
主な発着場所 アクセス
JR松山駅 JR松山駅前
松山市駅 伊予鉄松山市駅前
大街道 伊予鉄(市内電車)大街道電停前
余戸南インター 伊予鉄鎌田駅から徒歩約5分
※ホエールエクスプレスのみ
高知インター南
バスターミナル
JR薊野駅から徒歩約5分
※なんごくエクスプレスのみ
はりまや橋 とさでん(市内電車)デンテツターミナルビル前電停、
もしくははりまや橋電停前
高知駅バスターミナル JR高知駅前
●乗車の記録
○2018年3月28日(水) なんごくエクスプレス6便(はりまや橋13:25→大街道15:47)
 四国内ではJRと高速バスが都市間輸送でしのぎを削っており、4県の中心都市を相互に結んでいる。両者とも割引サービスや乗り換えなしの強みを生かすなどの工夫をこらし、料金・所要時間・運行頻度とも互角の区間がほとんどである。しかし唯一JRよりも高速バスの方が一枚上手を行っているといえるのが、松山と高知の区間である。両県間は西日本最高峰の石鎚山に代表される四国山脈に隔たれているため、この間の移動は鉄道・高速道路とも香川や徳島寄りへ迂回する形をとる。特にJRでは松山方面の予讃線と、高知方面の土讃線の分岐点が香川県の多度津駅であるため非常に大回りとなり、特急利用で約4時間、運賃・料金計9,230円(自由席)にもなり、多度津での乗り換えも必要となる。一方の高速バスは、松山自動車道と高知自動車道との接続地点が愛媛県の川之江であるため到達時間も早く約2時間35分、運賃は3,600円である。全国的にも県庁所在地間の旅客輸送において時間面では鉄道の方が勝っていることが多いが、ここでは時間面・料金面ともバスが有利となり大胆な「都市間ショートカット」が実現している。

 この区間にはジェイアール四国バスが運行する「なんごくエクスプレス」と、伊予鉄バスととさでん交通が共同運行する「ホエールエクスプレス」の2系統があるが、両者間での相互乗車の取り扱いは行われておらず完全な別路線である。そのため途中で経由する停留所も異なるほか、それぞれ独自の割引サービスが展開されている。ただ運行時刻は重複しないようになっており、両者あわせておおむね1〜2時間に1本の運行である。今回は「なんごくエクスプレス」に高知から松山へ乗車した。「なんごくエクスプレス」では割引サービスが強化されており、14日前までのネット予約で片道1,500円になる。鉄道の料金がバカと思えるくらいの破格の安さだ。ただし席数限定であるので注意。

 高知市の中心部「はりまや橋」から乗車。市内を東西南北に結ぶ市電が交わっており、路線バスも基本的にここが始終着点となっているので、市街地からやや離れているJR高知駅よりも交通の便は良い。停留所前には待合所もある。13時25分、高知駅から来た松山行きの「なんごくエクスプレス」が到着。平日の日中であったが、「はりまや橋」発車時点で6割程度の乗車率で外国人の姿もあった。

 市街地での渋滞の影響で約10分の遅れを持ち、13時45分に高知ICから高知道に入る。次第に山間部へ入り、途中には2,000メートルを超える長いトンネルも多い。全長4,300mメートルの笹ヶ峰トンネルの途中で愛媛県に入った。14時25分には徳島道と合流する川之江東JCTを、続いて松山道へ分岐する川之江JCTを通過した。高知から川之江までJR特急なら2時間半かかるところ、高知ICと川之江JCTの間を約40分で走ってきた。ここがショートカットに大きく貢献している区間であり、鉄道の感覚に慣れている私としては体感的にもものすごく速かった。

 途中、「三島川之江IC」に停車するも乗降は無く、松山道を西へ進む。高速道路が高台を走っているため、進行右側には市街地と瀬戸内海が良く見える。ただ、いよ小松JCTを過ぎると海は見えなくなる。この先松山までは鉄道が今治方面の海沿いに大きく迂回するのに対し、高速道路は内陸を通って一直線で結ぶ。ここもショートカットに一役買っている区間だ。

 峠を越えると道の先には松山市街が見えてくる。松山ICで高速を降り、松山の「大街道」には約10分遅れのまま到着した。ここで降りると繁華街や松山城に近く、道後温泉へも市内電車で10分程度と観光に便利だ。伊予鉄道の郊外電車に乗り換えるならこの先の「松山市駅」、JRなら「松山駅」まで乗車することとなる。私はこのまま道後温泉へ向かい名湯と広間での休憩を堪能、晩に出航する松山・小倉フェリーへの乗船を待った。

●補足
・方向によって高知・松山両中心部での停留所の停車順序が異なるので注意。
・全便予約制で座席指定。ただし当日空席があれば予約なしでの乗車も可能。
・松山・高知側両停留所とも特に設備はなし。付近にコンビニや飲食店は多数あり。

●参考写真

はりまや橋停留所前にはとさでんの待合所がある

JR四国バスの車両

高知・愛媛県境付近。長いトンネルが続く

大街道に到着。繁華街の三越前に位置する

道後温泉。大街道から市内電車で約10分

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