肥薩線観光列車乗り継ぎ旅

 2019年2月、九州西側を縦断し北九州から鹿児島を目指す旅を敢行していた折に乗車した、肥薩線観光列車乗り継ぎの記録。肥薩線では2017年に新しい観光列車「かわせみやませみ」が登場。これにより熊本から肥薩線を経由して鹿児島中央までを、3つの観光列車で乗り継ぐことができるようになり、当時は九州における鉄道旅行の王道ルートとなっていた。
 しかしこの翌年7月の豪雨で路線が被災。2026年現在も不通が続いており、3つあった観光列車も他の路線に移るなどして姿を消してしまった。全線復旧を願い、当時の賑わいを思い出しながら執筆する。

記念乗車証と指定券。「かわせみやませみ」の指定券は残念ながら残っていない

はじめは熊本11時24分発の特急「かわせみやませみ3号」。名前は球磨川流域に生息する鳥に由来し、2両編成で前が青色の「かわせみ」、後ろが緑色の「やませみ」という2色の組み合わせ。前面上部にエンブレムがついているのも斬新だ。
熊本を出ると、鹿児島本線を南下。途中新八代、八代と停まり肥薩線へ。日本三大急流の一つ、球磨川に沿って渓谷を走ってゆく。写真は瀬戸石付近。
昼時になったので売店へ。車内放送でも宣伝していた平日限定おにぎらず弁当と、地元の焼酎をいただいた。
12時40分、一勝地に到着。7分の観光停車。
13時03分、終点の人吉に到着。熊本南部の山地の中。城下町とあって駅舎も城風の立派な建物だ。
続いては人吉13時22分発の普通「いさぶろう3号」(写真左)。熊本と宮崎の県境をまたぎ、スイッチバックや日本三大車窓など肥薩線のハイライト区間を行く。平日ながら観光客でにぎわっていた。
終点の吉松までは4駅であるが、ひと駅が長く各駅で観光停車をしていくので所要時間は1時間20分。
人吉の町中を抜けるとどんどんと険しい山の中へ。最初に停まるのは大畑(おこば)。かつては蒸気機関車の給水を行っていた駅で、開業当時からの駅舎が残る。
大畑は山越えのためのスイッチバックとループ線を同時に見られる希少な場所。写真は大畑を出発し、スイッチバックをしてループ線を登ってきたところ。右下に先ほど停まっていた駅が見えた。列車は「矢岳越え」と呼ばれる、さらに険しい道のりを進む。
続いて矢岳。県境にあり、線内では最も標高が高い駅だという。この駅の先にある「矢岳第一トンネル」を抜けると宮崎県だ。
トンネルを抜けた先にあるのが「日本三大車窓」のひとつに数えられる矢岳越えの景色。眼下にはえびの市の街並み、先には韓国岳や新燃岳も見える。この先は山下りとなる。
真幸(まさき)に到着。この駅もスイッチバック式で、列車は後退して駅に入る。運転士の移動もあるため長めに停まり、乗客はホームなどで記念撮影を楽しんでいる。
鹿児島県に入り、14時48分、終点の吉松に到着。しばらくして向かい側には次に乗車する15時01分発の特急「はやとの風3号」が到着した。
ここまで乗ってきた列車はすべて型自体同じだが、蒸気機関車を彷彿とさせる漆黒のボディは他の観光列車とは一線を画す。九州の観光列車ブームをつくった存在でもあり、メディアへの掲載も多い。
嘉例川では約5分の停車。1903年の開業以来使われている、時代を感じる木造駅舎。当時は限定駅弁で一躍有名になった。
肥薩線は隼人で終点だが、列車はこのまま日豊本線へ。これまでの山越えの景色から一変、左に鹿児島湾を見ながら鹿児島中央を目指す。鹿児島のシンボル桜島の頭は雲隠れ。
終点の鹿児島中央には16時44分の到着。熊本から約5時間かけての旅だった。前回、おれんじ鉄道経由で訪れたのは7年前。大きな階段がなくなって駅ビルが建ち、駅もだいぶ雰囲気が変わっていた。

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