京都らしさを感じさせる音
(京都市営地下鉄烏丸線各駅 接近・入線)
京都市交通局では2011年3月25日、市営地下鉄烏丸線の駅における電車の接近放送を一新し、メロディーを採用した。2路線ある市営地下鉄のうち、1997年に開業した東西線は開業当初からホームドアなどを整備していたが、それに比べ1981年に開業した烏丸線での安全対策は遅れていた。接近放送を効果的に流すことで、ホーム上での安全性を向上させる狙いだ。
メロディーの制作にあたっては、音響・音楽心理学を研究する京都市立芸術大学の津崎実教授の意見を採り入れた。津崎氏が出した「広い帯域の音を使い、騒音の中でも聞き取りやすい」「音楽的なものを避ける」「メロディーを繰り返す」「上下線を区別できるよう、はっきり異なるメロディーにする」という条件のもと、音楽デザイナーが「どこかしら、京都らしさを感じさせる音」をコンセプトに制作。このうち国際会館方面は、同市の総合デザイン会社「eewh[いーふ]」の代表・江藤誠哉氏が担当。国際会館方面は琴の音色、竹田方面は水を思わせる音色になっている。
ただし津崎氏は当初、専門家として「ホームドアなどの設備があればメロディーは不要」という考えから、「音楽を使わないでできないのか?」と返答したという。しかし、赤字が続く地下鉄には莫大な費用のかかる設備投資が困難であることを聞き、「仕方なく、もしつけるとしたらどのようなものがいいか」とアドバイスに応じたという(その後ホームドアの導入が決まり、2014年度から烏丸御池、四条、京都の各駅に順次設置)。
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