笠岡のご当地ソング
(JR山陽本線笠岡駅 接近)
岡山県笠岡市にあるJR笠岡駅では、1999年6月23日から列車の接近放送に笠岡ゆかりの曲を使用している。「地域密着型の駅を目指す」という当時の駅長の方針のもと、地元のイメージアップを図るため採用した。
「大島の傘踊り」は、同市大島地区で江戸時代から伝わる盆踊り。「大島音頭」にのせて傘を刀に見立て斬り合いを表現する。この地のかつての領主・細川通董(1535-1587)の百回忌で、武道の型を取り入れた供養踊りを奉納していたところ夕立に遭い、刀の代わりに傘を使ったのが踊りの起源だという。「大島音頭」の詞には、地区にそびえる御嶽山や瀬戸内海に浮かぶ離れ小島を織り込んでいるほか、地元で語り継がれる江戸時代の孝子、下原甚助を讃える内容もある。音源は大正琴で演奏したもの。
「がんばれカブトガニ」は、絶滅危惧種で“生きた化石”とも呼ばれるカブトガニの応援ソング。笠岡はカブトガニの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。1989年に地元の「カブトガニを愛する会」が制作を企画し、同市出身の音楽家・上田康博氏が作詞・作曲。翌年に市内にオープンしたカブトガニ博物館のイメージソングにもなっている。ちなみにこの曲にあわせたダンスもあり、市内の小学校の運動会などでも踊られているという。メロディーには原曲音源を使用しており、その軽快な曲調は全国数ある駅メロディーの中でも異彩を放つ存在である。
2012年2月中旬頃に新しい放送と一般のメロディーに置き換えられたが、同年4月下旬頃から再び使用されている。だが、この際に全ホームが「がんばれカブトガニ」に統一され、前とは音源の使用している部分が異なるほか、主旋律が無いカラオケ版となった。
(参考:1999年6月26日朝日新聞岡山版、情報協力:「発車ベル使用状況」しみず氏)
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