函館オリジナル曲
(JR函館本線・津軽海峡線函館駅 発車)
JR函館駅(北海道函館市)では1990年12月1日に、発車ベルをメロディー変更した。「旅立ちの鐘」と題したオリジナル曲で、社内でバンドを組んでいた当時の駅員・北森滋氏が制作。曲名は駅長が付けた。「教会の鐘や船の汽笛、海に面した函館の情景をシンセサイザーで表現」(北海道新聞)したという。当初の1年間は青函連絡船の廃止から間もなかったこともあり、出港時の別れの雰囲気を再現しようと船の汽笛も入れていた。
当時は全国的に発車ベルを廃止する動きがあり、JR北海道でも静かな駅づくりに取り組んでいた。同年9月1日に旭川駅で試験的にベルをピアノのメロディーに変更、11月30日には全ての駅で改札終了を知らせるベル及び発車ベルの使用を取りやめた。しかし函館は異国情緒あふれる街並みや、戊辰戦争終結の地で知られる五稜郭など、歴史を感じさせる人気の観光地。本州方面の特急列車との乗換駅で乗客も多く、発車の合図が必要という駅の判断により、「観光客の思い出になるメロディーを」(同紙)と採用を決めた。
発車メロディー採用前は夏に限り、快速「海峡」の発車時に連絡船の出港合図に使われていたドラの音を流していたことがあった。そのため発車ベルの廃止を決めた当初は、このドラの音を他の列車に使うことも考えられていた。JRでは他の主要駅でもメロディー化を検討したものの、変更されたのは函館と旭川の2駅のみ。旭川駅はのちに取りやめたため、道内のJRでは唯一の発車メロディーとなった。
その後、駅を取り巻く環境は大きく変わった。2016年には北海道新幹線が開業し本州方面の列車が廃止され乗り継ぎ客は激減。発車メロディーが流れるのも札幌方面の特急「北斗」のみとなった。更に2024年から「北斗」が全車指定席になることに伴い、発車メロディーの操作役を兼ねていた案内係が廃止されることとなったため、同年3月31日をもって使用を取りやめた。JR北海道には復活を求める声もあったというが、末期にはホーム上の売店などは無くなり乗客が乗り遅れる恐れも減っており、当初から発車ベル自体の廃止を目論んでいたことを鑑みれば、34年を経てその目標を達成できたといえる。
(参考:1990年11月29日北海道新聞函館版、2023年7月8日同デジタル版、2024年4月2日同紙)
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曲名 |
備考 |
3〜8番線 |
旅立ちの鐘[動] |
現在不使用
普通列車、深夜帯では流れない
1999年頃〜2006年の一部期間はイベント開催のため別のメロディーを使用
「ドラえもんイベント」を参照 |
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