駅間連絡バス・フェリーの旅

JRバス多古本線(成田・芝山千代田〜八日市場)
情報更新日…2023年11月11日
※記載の内容は基本的に筆者の乗車時点のものです。最新の運行状況等をお確かめください。
●基本情報
運行事業者 ジェイアールバス関東
路線名 多古本線
運行区間 JR成田駅〜八日市場駅
所要時間 JR成田駅〜八日市場駅…1時間25分
芝山千代田駅〜八日市場駅…約45分
運行本数・間隔 平日…6.5往復/日
土・休日…5往復/日
運賃・料金
(大人片道)
1,220円
主な割引きっぷやサービス なし
主な車内サービス なし
予約の要否 不要
全国交通系ICカードの利用可否
その他 ほかに区間便あり
公式サイト ジェイアールバス関東
JRバス多古線
●5段階評価
項目 5段階評価 コメント
所要時間 ★★☆☆☆ 芝山千代田からのショートカット効果はあり
運行本数 ★☆☆☆☆ 区間便は多いが八日市場までの便は少ない
運賃・料金 ★☆☆☆☆ 他の手段と比べると高め
車内設備 ★★★☆☆ 一般的な路線バス
他の交通機関との接続 ★★☆☆☆ 鉄道との接続考慮なし
●運行ルート(概略)
●鉄道駅と接続する主な発着場所とアクセス
主な発着場所 アクセス
JR成田駅 JR成田駅前
京成成田駅から徒歩3分
京成成田駅 京成成田駅前
※JR成田駅行きのみ停車
芝山千代田駅 芝山鉄道芝山千代田駅前
※1日2往復のみ停車
千代田 芝山鉄道芝山千代田駅から徒歩10分
八日市場駅 JR八日市場駅前
●乗車の記録
○2018年2月16日(金) 八日市場駅行き(JR成田駅15:15→八日市場駅16:45)
 古くから成田山新勝寺の門前町として栄え、今は日本の空の玄関口でもある千葉県の成田を起点に、北総を横断し太平洋側の八日市場までを結ぶ路線。元々この区間には成田鉄道多古線という鉄道路線があったが、戦争の影響で運行が休止されそのまま廃止。その代わりとして国鉄がバスの運行を始め、現在は民営化を経てJR東日本の子会社がその役割を引き継いでいる。成田近郊では利用が多く、航空科学博物館や成田空港までの区間便をあわせると1時間に2〜3本の運行がある。対して八日市場側では人口減少の影響で利用は少なく、補助金交付を受けながら運行されている。

 JR成田駅とその周辺は最近になって改良が施され、手狭だった東口駅前広場も拡張された。バスはその駅前広場の2番のりばから発車する。車両は一般的な路線バスの型であるが、中扉は常時締切で「前乗り・前降り」方式、路線バスには珍しい向かい合わせのボックス席がある。

 JR成田駅を出ると、かつての路面電車の線路敷を利用した「電車道」を通り、成田山前を経由。街の中心部を抜けると「芝山はにわ道」と名付けられた県道を通り、約20分で「三里塚」に着く。この停留所は、国鉄時代に鉄道線と連絡運輸を取り扱うバス駅として営業していたことから、その名残で交差点の角に専用の敷地を持ち、「三里塚駅」の看板も見えた。ここからは成田空港の敷地脇の側道に入る。警備上の都合か、高い壁に阻まれているところが多いが、所々で飛行機の姿を見ることができる。沿道にある「航空科学博物館」は日本初の航空専門博物館で、飛行機に憧れる子供たちに人気のスポットだ。

 空港敷地を南側から回り込み、三里塚の向かいにある「千代田」に着く。ここから芝山鉄道の芝山千代田駅までは徒歩で10分である。芝山千代田駅前にも停留所はあるが乗り入れるのは1日2往復のみ。このバスは駅を経由せず先に進む。これまでは車の通りが頻繁で建物も多かったが、ここで空港敷地から離れるとその様子は一変する。道は急に狭くなり周りは竹藪、それを抜けたかと思えばそこは農村部で、空港の「く」の字もなくなってしまった。乗客もこれまでに多くが降りてしまい、JR成田駅で8人乗っていた客も、残っているのは2人のみであった。

 千代田から走っている道路は道幅は狭いものの、直線が多くカーブも滑らかだ。この道路こそ、かつての成田鉄道の線路跡である。地図で見るとほかの道路と比べても線形の良さが際立っているのが分かる。

 成田駅から1時間、16時12分に多古台バスターミナルに到着した。多古町の交通拠点であり、佐原方面への路線バスや東京行きの高速バスも発着している。バスターミナルを過ぎると多古の古くからの街中へ入り、「多古新町」や「多古仲町」からは学生らが乗ってきた。多古から八日市場までも線路跡が国道として整備されているが、バスはこれを逸れ、市街地を抜けると旧道を進む。途中の「下総吉田」は、鉄道時代の駅名が現在でも踏襲されている停留所の一つで、JRの駅のように旧国名が付いている。

 「市民病院入口」を過ぎると道路沿いには民家や商店が多くなり、八日市場の街に近づいていることが窺える。終点の八日市場駅には定刻で到着した。駅で降りた乗客の多くは多古台バスターミナルよりあとから乗車してきたが、唯一、成田山前から乗ってきた私立校と思しき小学生がここまで乗り通していたのには驚いた。

 「鉄道の廃線跡を走るバス」としては興味深いが、成田〜八日市場間の移動はJR成田線と総武本線を佐倉で乗り継いでも約1時間、運賃970円であり、成田から銚子方面に抜けるのにも成田線があるので、あまりこのバスを乗り通して使うメリットはない。特にJR成田駅から千代田まで35分を要するのが痛手である。その分、芝山千代田からのショートカットなら時短効果は大きいが、駅前を経由するバスの本数が少ないのが残念なところだ。

●補足
 芝山千代田駅からJR総武本線方面へ接続するバスは他に、芝山町の「芝山ふれあいバス」(芝山千代田駅〜松尾駅)、芝山鉄道延伸連絡協議会の「空港シャトルバス」(芝山千代田駅〜松尾IT保健福祉センター前〈松尾駅から徒歩5分〉)がある。

●参考写真
なし

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