割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅(その3)

 四国一周は前からやってみたいことの一つであった。しかし、鉄道が通っていない区間もあり、2012年の北海道の時のようなフリーパスだけでは、元が取れない・有効期間が足りない・途中の観光時間がつくれないなど難があった。そこで今回は、旅行会社や現地で発売している割引きっぷと路線バスを使い、途中での観光も挟みながら、できるだけ安く四国一周を果たすことを目的とした旅を計画した。
 4泊6日(1日車中泊)の「割引きっぷを駆使して鉄道で四国一周の旅」の記録。

 3日目は鉄道とバスを乗り継ぎ、室戸岬を回って高知へ。

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【3日目】
阿南 7:46発
↓牟岐線527D普通
↓(牟岐から4527D)
海部 9:09着
今日は、昨日に引き続き「徳島・室戸・高知きっぷ」で室戸岬を回って高知を目指す。
阿南からは普通列車(写真右)に乗車。徳島で泊まっても同じ列車に乗れたのだが、ホテルの朝食時間を考慮して昨日のうちに阿南まで距離を稼いでおいた。
ちなみに後で気づいたが、この列車、昨日乗った鳴門線と同じ車号だ。
朝の時間帯ではあったが、学生は皆阿南で降りてしまい車内はガラガラ。かわりに途中からお遍路さんが結構乗ってきた。これも四国ならではだ。
阿南から約1時間、8:42に牟岐に到着。ここで後ろ1両を切り離し、車掌も降りてワンマンに変わった。
海部までの開業は1973年と比較的最近で、付近は高架線路になっている。写真は海部駅手前にある名物トンネル。元々あった山が切り崩され、トンネルの穴だけが残っている。
海部 9:12発
↓阿佐海岸鉄道5543D
↓普通
甲浦 9:23着
海部からは阿佐海岸鉄道に乗り換え。牟岐線の延長部わずか8.5kmを走る第三セクターだ。この路線も、こんな時でないと乗る機会はなかっただろう。
海岸鉄道という名ではあるが、海がすぐそばまで迫ってくるところは、途中の宍喰までに何回かある程度。
この路線も比較的最近の開業のため線形がよく、それなりにスピードを出す。

終点の甲浦(左下写真)まではたった11分。あっという間だったということ以外、あまり特徴のない路線だった。この人口の少ないエリアと短い運行距離だけで、よく経営が続いていると思った。

ちなみにここから高知県だ。甲浦からは高知東部交通バスに乗り換え。駅舎は観光案内所とバスの待合場も兼ねており、ここで約35分待ち。待ち時間に案内所のおばちゃんが地元名産のポンカンとお茶をご馳走してくれた。ごちそうさま。
甲浦駅 9:59発
↓高知東部交通
岬ホテル前 10:48着
バスは甲浦岸壁発だったが先客はおらず、駅から5名ほど乗車。すぐに国道55号に出て、海に沿ってひた走る。景色はバスの方が一枚上だった。 

この路線バス、随分とバス停の数が多く車内放送が忙しい。しかも似たような名前のものが続き、挙句ネタ切れしたのか「○○第一」「○○第二」なんてものまで。運転手も2回ぐらい放送を忘れて運賃表がずれていた。
かといってしょっちゅう乗り降りがあるわけでもない、不思議な路線である。
甲浦からおよそ50分、室戸岬の一つ手前の岬ホテル前で下車。ここで室戸岬観光。ここから南へ数分歩くと、灯台への登山道がある。灯台へは山の反対側から車でも登れるが、山の上にある寺への遍路道にもなっており、利用頻度は高い模様。
  灯台まではお寺(標高165m)を経由してサクッと約20分。しかし灯台の周りはベンチとかがあって広いのかと思ったが、歩道が伸びていて灯台の前で切れているだけ。あまり面白味はなかった。

左下は灯台近くにある「最御崎寺(ほつみさきじ)」。灯台よりも高い位置にある。
 
  下へ降りて今度は海岸周辺をぶらぶら。写真は岬に立つ中岡慎太郎像。坂本龍馬と並んで高知出身の英雄として知られるが、銅像は桂浜の龍馬像と比べると知名度は劣るか。
  観光案内所にある展望台から南端部を見る。室戸岬は台風さんの御用達スポットとしても有名。灯台まで登って体を温めたが、今日も風が強くまた寒くなってきた。
室戸岬 11:51発
↓高知東部交通
平尾第一 12:14着
室戸岬から再び高知東部交通バスに乗車。このバスは室戸岬(ディープシーワールド)始発でまたしても先客はおらず、私と写真右の男性が乗車。
途中室戸の市街地を通り、いくつかのバス停で乗降があった。
室戸市街を抜け、室戸岬から約20分。続いて降りたのは、例のネタ切れバス停の一つ「平尾第一」。ここで昼食とする。
  平尾第一バス停の前にある道の駅「キラメッセ室戸」。ドライブでもないのに道の駅に行くなんてなかなか無い。ここにあるレストラン「食遊 鯨の郷(いさのごう)」に立ち寄った。

室戸は古くから捕鯨が盛んだったところ。それゆえ室戸をはじめ土佐では鯨の食文化が根付き、縁起物として正月などに食べる習慣もあったそうだ。現在室戸での捕鯨は行われていないが、流通の少ない調査捕鯨で生まれた鯨肉を仕入れて、食文化を伝えている。
昼時で1階は混み合い、2階の大広間へ案内された。オーシャンビューの座敷で、定番の鯨の竜田揚げ定食(1,188円)を。ご飯大盛り無料。
 
  バスの時間までまだしばらくあるので、道の駅の中にある鯨の資料館、その名も「鯨館」へ。鯨の生態や捕鯨の歴史について知ることができる。鯨といえば千葉の和田が現役の捕鯨基地なので、ちょっと親近感。入場料大人200円。
平尾第一 14:17発
↓高知東部交通
奈半利駅 14:47着
室戸を後にし北へ進む。それにしてもこのバス路線、甲浦から終点の安芸まで2時間半もかかるのに、どれもありきたりの普通の車両で走っている。乗り通す人にはキツそうだ。
しばらくは海沿いを走っていたが、車窓はだんだん街らしくなってくる。30分ほどで奈半利駅に着いた。
ちなみにバス停は駅前の「奈半利駅」と街中心部の「奈半利」と2つあり、室戸から乗ってくると「奈半利」バス停が先に来るので注意。
奈半利 15:01発
↓土佐くろしお鉄道
↓ごめん・なはり線
↓・土讃線
↓5839D快速
高知 16:22着
ここからは再び鉄道に戻り、ごめん・なはり線に乗車。
2002年開業の新しめのローカル線。1時間あたり快速と普通が1本ずつ走っており、運行本数も比較的多い。ほとんどが高架なので景色がよいのも特徴。
1両の気動車に乗って高知へ向かう。
途中の和食(わじき)では交換で3分ほど停車。海もよく見える。
この路線では各駅に異なるキャラクターがいて、車内放送でも「○○君の○○駅」というように放送するのだが、聞いているのがなんだか恥ずかしい。しかも絵柄にアンパンマン臭がする。案の定、やなせたかし作だった。
列車はワンマンだが、安芸からは改札車掌も乗り込み、日中にもかかわらず後免まで座席が埋まるほどに乗ってきた。なかなかこの路線は頑張っているようだ。
後免からはJR土讃線へ乗り入れる。向かい側には強烈なデザインの「タイガース列車」。沿線の安芸市で阪神タイガースがキャンプを行っていることにちなんでいる。
終点の高知に到着。高知は7年半前に来ているが、当時は「ムーンライト高知」への乗換だけで素通りしてしまったし、その間に高架化もされて駅舎も様変わりし、以前の面影はない。ドーム型の屋根の高い駅舎はとても開放的だ。
  改札前の真新しいセブンイレブン、この前週に高知で初出店した3店舗のうちの一つだ。オープン初日は行列になるほど大盛況だったそうで、この日も入店したら陳列棚がスッカラカンの品薄状態。
 今日もこれにて終了。今回の旅はこんな感じのゆったり行程で続く。
 路面電車に乗ってホテルへ荷物を置きに行き、夕食は「ひろめ市場」へ。水曜日ながら会社帰りの客で賑わっていた。ぶらぶら中を歩いて気になったものを注文。右上写真の左は「ミルクラーメン」。牛乳の味?と思っていたがスープを飲んで納得、シチューの味だった。同右は「土佐焼き」。豚肉と野菜を炒めた一品料理。ビールが進む。

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