片道乗車券で東九州縦断の旅(その2)

 2015年、九州内で駅メロが増えたことで、それらを制覇すべくいろいろ計画を練ってみたものの、一回の旅行では日数がかかり過ぎてとても困難。そこで旅行を2回に分け、前編として日豊本線沿線を中心とした九州東側の駅を巡る行程を組んだ。元々の目的から8割方は駅メロ巡りとなってしまい、これにふさわしい企画乗車券もなかったので、今回は片道乗車券を途中下車しながら使うこととした。割引はないが、途中の色々な駅で降りれば、出発地から目的地までただ乗り通すよりもお得感は十分ある。
 3泊4日「片道乗車券で東九州縦断の旅」の記録。

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【2日目】
日向市 7:50発
↓日豊本線5004M
特急にちりん4号
大分 10:06着
翌日、日向市駅から2日目スタート。今日は別府まで。
乗るのは特急にちりん。日向市でも結構降りたが、やはり朝なので昨日よりは混んでいる。
しかし2つ先の延岡でほとんどが降りてしまった。延岡は「イヒッ!」のCMでおなじみ旭化成のお膝元。沿線人口が少ないながらも、JRにとっては通勤利用で大事なお得意様になっているようだ。
延岡を過ぎるとスピードが落ち山間部へ。ここから佐伯までは特急は1時間1本走るものの、普通列車は一日4往復のみという閑散エリア。
県境を越え大分県へ。山間の重岡では対向の特急と交換のため一旦停車。
大分までは2時間強。時刻表で見ると駅数の割には時間がかかったように感じた。
大分駅は高架化が完成し駅ビルも開業。4年前に来た旧駅舎の面影は全く無く、初めて来た駅のようだ。
 駅ビル「アミュプラザおおいた」の屋上に登ってみた。和風な庭園になっておりミニSLまで走っている。「地方」とは言わせない、都会のビルにも負けず劣らずの気合の入りっぷりだ。
大分 12:12発
↓久大本線4836D普通
由布院 13:22着
当初はこのまま別府へ向かう予定でいたが、つい数日前に由布院駅にも接近・発車メロディーがついたということで、方向を変え由布院へ向かうことに。
由布院までは1時間ほど。駅はデザインの関係か改札口という改札口が無い。しかし改札業務はちゃんとやっているので、出入り自由ではない。
しかし外国人が多いこと……。大体中国系で、やはりアジア方面からは人気のようだ。
  ホームの端には足湯があり、窓口で足湯券を購入すると入ることができる。しかし列車から降りた客がそのまま入ってしまうことも可能であり、特に外国人はそんな感じが多かった。
ここで撮影の合間に一休み。
  当駅では普通の入場券(160円)も売っているが、足湯用の入場券も同じ160円で、しかも記念ポストカードとタオル付き。
由布院駅前
 バスセンター 15:15発
↓亀の井バス
↓(36)別府湯布院線
別府駅西口 16:06着
せっかく由布院に来たので温泉にも入りたかったが、当初の予定外のルートだったのでこの後の別府の温泉に期待してここを後にすることとする。
別府まではバスで移動。次の列車は1時間後だし、鉄道よりもショートカットコースを行くバスを選んだ。
事前には調べていたのだが、こんなところのバスでもSuicaが利用可能(IC全国相互利用対象)。素晴らしすぎる。

バスは別府方面に向かって、由布岳の裾野を走る。
登山道はSカーブを繰り返す。由布の街が小さくなった。
城島高原を過ぎると下り坂に。遠くには海も見え、市街地も近い。
由布院から50分で、別府駅に到着。鉄道利用でも1時間以上はかかるので、時間短縮に一役買った。
温泉の街・別府に来たからには是非ここで1泊をと考えていた。駅から再びバスに乗り今日の泊地、「別府八湯」の一つ鉄輪温泉へ。
  終点の鉄輪までは約30分。もっと観光客がいるかと思ったが、最後まで乗っていたのは2人だけだった。

やって来たのは鉄輪名物の「むし湯」。サウナみたいなもので、ここでは薬草を敷いた床に寝るスタイル。入るのは10分程度だが、2〜3分で全身から汗が出てきて中々気持ちいい。しかし外に出たら蚊に3〜4箇所食われていた。むし湯の後は隣の風呂に入って汗を流す。

平日だし9月のオフシーズンだったので、日が沈むと街中はとても静かに。路地の定食屋で夕食とした。
昨日はユニットバスでゆっくり入れなかったので、ホテルでも温泉にゆっくり浸かって2日目を終えた。
 


【3日目】

 3日目の朝。ホテルの客室の窓を開けると、湯煙があちらこちらで上がっていた(上段左)。

 ホテルを出て、少しの時間ではあるが「地獄めぐり」をしてみることとする。ホテルから近い順に「白池地獄」から(同中央)。朝早いので他の客はゼロ。ここは国指定名勝に指定されており、湯は池に落ちると青白くなるという。池自体は大したことないのだが、ここには温泉熱を使った熱帯魚館がありピラニアなどが飼われている(同右)。……なんか本題とずれているこじつけ感。
 続いて「海地獄」(下段左)。同じく指定名勝で、地獄めぐりでは中心的存在。ここは既に賑わっていたが、やはり外国人観光客が目立った。湯気がものすごいが、湯は美しい青色でこれが地獄とは思えないほど。併設の温室では、日本一というオオオニバスを展示している(同中央)。子供なら上に乗れてしまうほどだとか。
 最後は「鬼石坊主地獄」(同右)。灰色の泥がブクブクと湧き出る様はいかにも地獄。昭和中期に閉鎖されたものの2002年に再開した、施設としては一番新しい地獄。なので設備も新しく、館内放送用のスピーカーは小VOSSだった。
別府 10:56発
↓日豊本線4632M普通
宇佐 11:46着
海地獄前から別府駅行きバスへ乗り込み、駅から再び鉄道で北を目指す。特急に乗るつもりでいたが、宇佐まで普通が先行するのでこれに乗車。
別府に来る普通列車は大体2両のワンマン列車。なのに大体乗客は列車が停まらないところにも散らばって待っているので、毎回大移動が発生していた。
50分で、続いての駅メロ巡り地点である宇佐に到着。宇佐市の中心部からは離れており駅前は正直何もない。宇佐神宮まではバスで約10分。
昼時だったので、駅前のレトロな喫茶店で昼食とした。

市の玄関口のはずだが、人気のない駅だった。
宇佐 13:49発
↓日豊本線3034M
特急ソニック34号
中津 14:04着
思いのほか早く済んだので、駅にあった観光パンフレットを物色し、寄り道をして今日の泊地の小倉へ向かうことにした。やって来たのは「白いソニック」。九州独特のセンスを感じるが、なんか中国の新幹線のようにも見える。
さすが九州、待遇が違う。自由席で本革シートに座れる。ちょっと表面が剥げてきていたが、座り心地は申し分ない。
宇佐から15分、中津に到着。ここを過ぎればもう福岡県で、北九州にも近く街も賑わっている。今日はここで少し観光をしてみる。
この区間の普通列車は日中2時間1本だが、九州は25kmまでなら特急自由席300円なので気軽に乗れる。
 中津は城下町として栄えたところ。中津城(左)は、NHK大河ドラマでも人気を博した黒田官兵衛が築城したもので、ドラマ放送を機に観光施策に力を入れたようだ。併設の「黒田官兵衛資料館」は入場無料。駅からは徒歩15分。
 城からさらに徒歩10分のところにあるのが「福澤諭吉旧居・福澤記念館」(それぞれ中央・右)。福澤は中津が生んだ偉人。幼少のころからここで育ったそうだ。一万円札でお顔はよく見るが果たしてどれほど凄いお方だったのかというと、なかなかスパッと答えられない。ここでいい勉強になった。でもやっぱり目を奪われた展示は、旧大蔵省から寄贈された「一万円札の一号券」かな。
中津 16:04発
↓日豊本線3042M
特急ソニック42号
小倉 16:37着
再び「ソニック」で小倉へ。今度乗車するのは初代ソニックの883系。以前は前面が車両によって黄色だったりシルバーだったりして面白かったが、現在はすべてこの青一色で、車内のデザインも落ち着いたものに変更されている。しかし耳の形をしたようなヘッドレストや近未来感漂うデッキ部は健在。JR九州の遊び心の原点を感じ取れた。
しかし、おとといからここまで乗った特急は全て車掌は一人のようだ。都市間特急とはいえ自由席の比率は高いし、走行中も車内改札に忙しい。やはり人員もギリギリのところでやっている。
中津から約30分、九州第二の都市・北九州小倉に到着。さすが大都会、今までとは賑わいが違った。

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