速いけどのんびりと……「こだま」で東京から大阪へ行ってみた

 旅行で東海道・山陽新幹線を使うことが多くなったのだが、東京から中部・関西方面の新幹線が使えるお得なきっぷというと「新幹線回数券」ぐらいで、あまりお得感が無い。しかし旅行をしようと考える際、少しでも安い行き方、買い方を考えてしまうもの。そこで今回は東京から大阪への旅行を、JR東海ツアーズが発売する新幹線と宿泊がセットになったプランで申込み、さらに新幹線の各駅停車「こだま」を利用することで旅費を抑えてみることにした。

 JR東海ツアーズは、JR東海傘下ということもあって他の旅行商品よりも東海道新幹線の利用条件が良い。しかし「のぞみ」「ひかり」を利用する場合は時間帯によって最大3,400円の加算料金があるため、往復で加算料金のある時間帯(朝・夕・夜)に「のぞみ」を使うとあまり割引にならない。対して「こだま」を利用する場合、時間帯にかかわらず基本料金から一律3,000円引き(指定・自由席の場合)となる。東京〜新大阪の片道分相当の金額は、なんと7,800円。格安で人気の同社商品「ぷらっとこだま」(指定席10,300円)にも勝る金額で、往路・復路共に「こだま」を使えば、「のぞみ」片道分とほぼ同じ金額で往復することも可能だ。

 だが、「こだま」となると東京〜新大阪の所要時間は約4時間。同じ区間を約2時間半で結ぶ「のぞみ」に乗り慣れた人からすれば抵抗があるのも理解できる。自身でも、帰りの疲れた時に4時間はちょっと……という気持ちがあったので、往路は「こだま」、復路は「のぞみ」を選び、基本料金にわずか400円の加算で済むようにしてみた。

 「こだま」なんて……と思う方も多いだろうが、実は新幹線開業当時の最速列車「ひかり」が東京〜新大阪を、現在の「こだま」と同じ4時間で走っていた。「青春18きっぷ」を使って各駅停車を乗り継ぎ1日がかりで行くよりもよっぽど早いし、高速バスで渋滞に巻き込まれながら行くよりも安心感がある。「のぞみ」で通過してばっかりの駅や景色も、「こだま」に乗れば違って見えるかもしれない。

 というわけで、「こだま」を使って東京から大阪まで行ってみた。

※今回利用したプランの内容
JR東海ツアーズ「いざ出張大阪」
(下記は1名で往路に「こだま」自由、復路にA時間帯「のぞみ」指定を利用、現地に2泊した場合)
内訳 備考
往路(東京→新大阪・こだま自由)
復路(新大阪→東京・A時間帯のぞみ指定)
宿泊(ホテルルートイン大阪本町・シングル2泊)
7,800
14,200
11,600
基本片道相当10,800から3,000引き
基本片道相当10,800に3,400増し 
一泊5,800×2
33,600
(円)
 
(参考)
東京から新大阪まで「のぞみ」(指定・通常期)の普通運賃・料金は14,450円
東京から新大阪まで「こだま」(自由)の普通運賃・料金は13,620円
東京から新大阪まで「ぷらっとこだま 普通車指定席プラン」の旅行代金は10,300円

※上記の運賃・料金及びプラン代金は2016年3月現在のもの。

商品の詳細はJR東海ツアーズのサイト(http://www.jrtours.co.jp/)を参照。

乗車するのは東京8:56発の「こだま641号」。乗車口の列も多くなく、いつも乗る「のぞみ」と違ってホームにいる客はまばらだ。定刻で出発。

このプランで「こだま」を利用する場合、指定席と自由席から選べるのだが、金額の差はない。今回はあえて自由席を選択した。

というのも「こだま」は16両編成のうち自由席が10両、指定席が6両(内グリーン3両)で自由席の比率が高く、指定席は混雑する傾向にある。現に乗車した列車は、13号車が指定席に変更されており、乗車率の高さがうかがえる。
「こだま」では多くの駅で通過待ちのため5分程度停車がある。これが無いのは品川、新横浜、熱海、三河安城、名古屋、京都だけ。

在来線では通過待ちがある際に車内放送が流れるものだが、「こだま」では逆。停車時間が無い駅で「通過待ちはございませんのですぐに発車します」と放送される。実際に、時間があると思ってホームに降りてしまう人が多いのだろう。

東京から約1時間、9:53に三島着。

三島を出ると富士山が近い。東海道新幹線を代表する車窓だが、あいにくこの日は雲に隠れてその姿を拝むことはできず。
車内の様子。乗車したのは比較的空いている前寄り。窓側でも空席が多く、ゆったりと着席できる。ただ各駅停車のため客の入れ替わりも多く、走りっぱなしの「のぞみ」ほどの落ち着きはない。
東京から約1時間半、10:24に静岡着。5分停車のため外の空気を吸いにホームに出た。ここでは乗降が多かった。
更に静岡から約30分、10:59に浜松着。

ところでこの「こだま」の旅で気をつけたいのが、車内販売が無いことだ。乗車前に買い物を済ませるか、駅停車中にホーム売店で購入することになる。今回はお昼の弁当を浜松停車中に購入してみた。停車時間は5分だが、どの駅も売店はホーム中央にあることが多い。それを考えると、到着までに編成中程のドアで待機するか、それに近い号車に乗車したい。

名産のウナギを使った駅弁で人気の浜松だが、ホーム売店では既にその類は売り切れていた。購入したのは「浜松三ケ日牛&遠州しらす弁当」(1,030円)。肉と魚介、真逆の組み合わせがなんだか面白い。
浜松を出てしばらくすると、浜名湖が見えてきた。このあたりは「のぞみ」に乗っている時とさほど気分は変わらない。
11:16に豊橋着。6分停車した。ここまで東京からの駅数は10。駅構内には名鉄電車も見え、ここはもう名古屋圏。だいぶ走ったなと感じた。
ビルの背が高くなってきたら名古屋。11:46着。東京からここまで約3時間、同じ時間に東京を出る「のぞみ」に乗っていれば既に新大阪に着いている時間だが、新大阪まではあと1時間強だ。
そういえば豊橋から乗ってきたビジネスマン2人が、この後の昼飯を名古屋の立ち食いきしめんにしようかと話していた。ホームによって味や盛り付けが微妙に違うそうで、各々好みの場所があるようだ。
名古屋を出てしばらくすると、進行右側の遠くに雪をかぶった山を見つけた。その正体は御嶽山。2014年に噴火したのは記憶に新しい。
空気の澄んだこの時期でなければ気付かかっただろう。
名古屋の次の岐阜羽島では、この列車最長の7分停車。
政治の力でつくらせたという駅の代表格だが、この駅、ホームに売店が一切ない。車内放送では「『こだま』では車内販売はございません。なお岐阜羽島駅ではホームに売店はございません」と、「無い」「無い」ばっかしだ。
岐阜羽島を出ると東海道新幹線の最大の壁ともいえる「関ヶ原越え」。今まで平野だったのが、急に山が迫ってきて難所の雰囲気だ。しかしここは「のぞみ」だろうが「こだま」だろうが一緒。スピードを落とさず一気に山越えだ。
12:44、京都に到着。関西圏に入り、名古屋と雰囲気ががらりと変わった。ここまで来れば新大阪はもうすぐだ。
13:00、終点の新大阪に到着。東京から4時間4分の道のりだったが、車内は終始空いており、昼飯も済ませられたのでゆったり過ごすことができた。
昼に到着できたのでこのあとの観光も十分可能。少々勇気はいるかもしれないが、急がない旅なら交通費の節約に是非お勧めしたい。

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