ご当地駅メロディー資料館
京都丹後鉄道福知山駅など

天橋立 特急「丹後の海」
(左)沿線にある日本三景のひとつ、天橋立
(右)丹鉄の特急車両「丹後の海」

丹鉄サウンドブランディング
(京都丹後鉄道福知山駅など 接近・入線・発車) 

 京都丹後鉄道では2017年4月1日(3月28日頃から順次)、「丹鉄サウンドブランディング」と題した試みで駅のメロディーやBGMなどを一新した。

 これは、駅や車内で流れる音楽を統一したテーマに沿って制作するというもの。手掛けたのは沿線の京都府宮津市出身で、京都精華大学人文学部教授・作曲家の小松正史氏。前年に同市で開かれた小松氏の演奏会を訪れた丹鉄の関係者が制作を依頼。これに対し小松氏は、駅や車内で流れる音楽を総合的にプロデュースしたいと提案。鉄道好きで地元への思い入れも強かったことから、この企画を無償で引き受けたという。

 小松氏はまず、「人にやさしく、丹鉄らしい音づくり」をコンセプトに、3つある路線毎にテーマ曲をつくった。宮舞線(宮津〜西舞鶴)は、海の近くを颯爽と走る様子をイメージした「海鉄」。宮豊線(宮津〜豊岡)は線路沿いに花を植える活動を進めていることから、花びらが舞うイメージで、懐かしさと明るさを持つ「花鉄」。宮福線(福知山〜宮津)は山間部を走り、沿線で出る霧が幻想的であることから、低音で霧の漂いや落ち着きを表現した「霧鉄」。

 そして、それぞれの楽曲から一節を抜き出して接近メロディーと発車メロディーを計6曲制作。接近メロディーはループ再生できるようコード進行を工夫、発車メロディーは偽終止形にし、鋭い音色を使って注意喚起効果をつけた。当初は全駅で採用する構想だったが、設備面の都合から福知山、宮津、天橋立の3駅に限定。接近メロディーは乗客の混乱防止のため、全てのホームで宮舞線用とした。本来であれば接近メロディーと発車メロディーは路線毎に一続きになっており、統一感を持たせてある。

 また宮津、天橋立両駅の待合室では、テーマ曲をピアノや琴でアレンジしたものなどをBGMで流している。ほかにも観光列車「丹後くろまつ号」の車内BGMや特急車両「丹後の海」の車内放送チャイムを制作。6月にはこれらの楽曲を収めたCD「丹鉄メロディ」が発売された。駅で乗客らにおこなったアンケート調査では9割がメロディーの存在に気づき、7割が「注意喚起を感じた」「駅の雰囲気にあっている」と回答。この取り組みがおおむね受け入れられているという。

 かつては第三セクターの北近畿タンゴ鉄道によって運行されていた丹鉄の路線。しかし全国の三セク鉄道の中で最悪の赤字を出し経営が行き詰っていたことから、先進的な高速バスサービスで注目を浴びるウィラーグループが2015年に路線を引継ぎ、民間のノウハウを取り入れて経営再建を目指している。丹鉄を運行するウィラー・トレインズは、この取り組みで「鉄道利用がより快適になるようにし、移動が特別な時間と体験となることを目指す」という。

(参考:2017年7月1日日本経済新聞夕刊、京都精華大学紀要委員会「京都精華大学紀要」51号、交通経済研究所「運輸と経済」2018年8月号、昭和堂・小松正史「人と空間が生きる音デザイン」)

原曲名・
テーマ
使用駅 ホーム 使用別 曲名
海鉄
(宮舞線) 
福知山 丹鉄1・2番のりば 入線 宮舞線・接近メロディ[動]
宮津、
天橋立
すべて 接近
3番のりば
(西舞鶴方面)
発車 宮舞線・発車メロディ[動]
花鉄
(宮豊線)
宮津、
天橋立
1・2番のりば
(主に豊岡方面)
発車 宮豊線・発車メロディ[動]
霧鉄
(宮福線)
宮津 4番のりば
(福知山方面)
発車 宮福線・発車メロディ[動]
※2021年7月17日から8月31日まで、天橋立の発車メロディーは使用なし

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